2008年11月23日日曜日

制御工学第二 第2回演習問題

第1回目の演習の提出に引き続いて次の出題があるのはきついところもあると思いますが、状態空間法に基づく制御系設計の流れを知るために特に大切な、LQRおよび状態観測器に関する第2回の演習問題をここに出題します。12/16の講義の際にご提出ください。時不変LQRにおいては、評価関数における入力と状態変数の偏差に対する重みが、最終的な制御系設計にどのような役割を果たすか、という基本事項を典型的なケース設定で学び実感していただく問題になっています。状態観測器の問題は、極配置法による標準的なオブザーバゲイン設定問題であると同時に、多項式法(ケスラー標準形)と零次の外乱オブザーバという、モーションコントロールの実験で実用的に重要な手法を学ぶ例題になっています。

 実務における作業の流れを実感しながら、練習をしていただけるといいかと思います。

 

2008年11月10日月曜日

制御工学第二 第1回目の演習出題

先週お約束を第1回目の演習問題を出題します.[1]は毎年出題している問題で、やや手間がかかりますが、可制御性・可観測性の意味を、システム行列の対角化を通じて直感的に理解することをめざした重要な問題です。ぜひ自力で挑戦をし、状態空間法の「肝」を体得してください。提出は2週間後の11/25の講義の際にお願いします。

2008年10月26日日曜日

交通エレクトロニクス2007年10月19日マショレック博士特別講義のスライド

もう大分前のことになりますが、昨年度冬学期に開講の電子情報学専攻大学院講義「交通エレクトロニクス」において、2007年10月19日に、ベルリン工科大学のマショレック博士に、ヨーロッパの鉄道信号保安技術の標準化について「Interoperability of Train Protection Systems in Europe」 と言う題目の講演をしていただきました。マショレック氏が再来日し、その際のスライドのファイルを公開用にまとめて提供してくださりましたので、ここから入手していただけるようにしました。(ファイルの大きさは約5.8MBあります。)

2008年10月25日土曜日

2008/10/23 AGSセミナー 「電気鉄道と環境」御聴講の皆様へ

 拙い講演をお聴きくださりありがとうございました。

 その際、スライド中にて、補足資料はPW付きでこのページからリンクを張ると申し上げましたが、具体的に資料の追加を要するようなご質問、ご議論がございませんでしたので、このページに特段の追加の記載はいたしません。講演資料については、堀教授のものもあわせてAGSクラブの会員向けページに掲載されると伺っております。

 せっかく、このページを訪れていただいた方、追加の内容が無くて申し訳ございません
 なお、せっかく来ていただきましたので、お時間のございますときに、このページの右側にリンクがございます、古関研から独逸に留学の機会を得た3名の学生(うち2名は既に社会人として活躍しております)の滞欧記をご覧になってみてください。三者三様の若い感性で、それぞれに興味深い内容が記されていると思います。

2008年10月8日水曜日

電子・情報系進学内定者へのガイダンスを終えて(10/22リンクづけして改訂)

 本日電子・情報系進学内定の皆さんには1日にわたるいろんな先生の話を聞いていただきました。我々B2コースの話は、そのスケジュールの中でも最後だったので、聞く側としても大変疲れていたと思いますが、最後まで真面目にお付き合いいただきありがとうございました。中島先生の2030年ビジョンの話を含む、我々のコースのエネルギー・環境・グローバルシステムの技術に関わる教育・研究内容の説明に使用した資料は、今回配布しませんでしたが、近日中に学科の公式ページからダウンロードできるようになるはずです。

 当座の措置として、上記の中島先生、古関、熊田先生の講演に関わる資料はここから入手可能です。一人でも多くの前途有望な学生さんが、この分野に関心を持っていただけることを願っております。

2008年10月1日水曜日

制御CAD演習 実施要領(10/01初稿 10/8改訂)

3年生冬学期、月曜日午後には演習が行われます。堀教授と古関が担当するEA3 制御CAD演習ではPC上の制御CADソフトを用いて実践的な制御系の応答計算や設計の演習を扱います。

このブログの昨年度の記載でその様子がお分かりになると思います。本年度もほぼ同じ内容です。
(この形式での演習は本年度が最後になります。)

実際に演習に使うテキストは、ここから入手してください。(10/20に改訂版へのリンクをはり直しました。)
また、図の様式に一部不備がありますが、5, 6日目の堀教授の発展課題のテキストは、必要に応じてここから入手してください。演習当日の時間を有効に活用するため、事前にテキストに目を通し予習をして演習に臨むことを強く推奨します。

(10/02に配布された全体の実験計画の中で確認した結果、実施日程を以下の通りとします。)

場所: 工学部2号館12階古関研(123D1室)
日時: 月曜13:00-16:00

10/2(木) 午後 実験/演習全体のガイダンス

前半グループ (*はレポート課題出題日)
基礎演習: (1) 10/06 (2) 10/20* (3) 10/27 (4) 11/10*
応用演習: (5) 11/17 (6) 11/21*
レポート締切日: (2) 11/10(13:00@演習) (4) 11/21(13:00@演習) (6) 01/13(17:00@事務室)

後半グループ (*はレポート課題出題日)
基礎演習: (1) 12/08 (2) 12/15* (3) 12/22 (4) 12/24*
応用演習: (5) 01/08 (6) 01/19*
レポート締切日: (2) 12/24(13:00@演習) (4) 01/19(13:00@演習) (6) 02/16(17:00@事務室)

担当者: 堀教授 古関准教授 TA 福正博之 (博士課程1年生)

以下に、後期実験テキストに掲載予定の、演習の紹介(の一部を最新情報に基づき微修正したもの)を転載しておきます。

講義だけでは何となく納得のいかなかった部分が、自分でシミュレーションをし、時間応答波形や周波数特性を見る中で、直感的に理解できるようになることを目指していますので、エネルギーコースの人のみならず、情報系、電子系の科目を中心に履修している皆さんにも積極的にご参加いただきたいと思います。

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MATLAB, Simulinkを用いた制御系CAD演習(2008年度)
(本稿、古関の不手際から、実験書には昨年度のページがそのまま掲載されておりますことをお詫びします。本年度版の記述もほぼ変わりませんが、こちらをご覧ください。)
担当: 堀洋一, 古関隆章


1. はじめに

 制御工学は電気系のみならずあらゆる工学分野で用いられている基礎的な技術であり、この演習の受講者の多くはすでに夏学期の「制御工学I」を履修していることであろう。また、駒場4学期でも制御工学と非常に関連の深いラプラス変換を用いた微分方程式の取扱を必修科目として学んでいるはずである。しかし、そこでは、例題があくまでも紙の上の計算で扱える範囲の比較的単純なものに限定されざるを得ず、面白さと言う点でも、現実的なより複雑な問題を解決するためのトレーニングを行うという点でも物足りなさを感じたに違いない。

 堀や古関の学生時代は、現在のように能力のすぐれた計算機・便利なソフトウェアが簡単に使える環境ではなく、時間応答のディジタルシミュレーションを行うことは、それ自体で数日を要する作業であった。たとえば、分母多項式を導出し、ニュートンラフソン法で多項式の解を求めるプログラムを作成、留数の定理などを用いて各時間におけるラプラス逆変換を数値的に求め、さらに、それをグラフで表現するためのプログラムを作成するという作業を経てようやく一つの応答波形を可視化することができるという具合であった。さらに制御工学Iの授業で習ったような、いわゆる「古典制御理論」が盛んに研究された頃は、解析式の導出とアナログのアンプを組み合わせて積分器や近似的な微分器の回路をつくり、その出力波形を観測しながら研究が進められていたと聞く。(これをアナログコンピュータと呼んでいた。)

 今日では、幸いにして、高速の計算機と、プログラムやモデル作成の容易なグラフィック機能も含むソフトウェアが比較的簡単に手に入るようになっている。その代表的なものがこの演習で用いるMATLABで、もともとは行列の演算を扱う数値ライブラリ(サブルーチン集)を使いよくするために、変数をわたす部分のインターフェースを良くするツールとして生まれた。その後、それをベースにグラフィクスの機能などが強化され、商用の技術計算用言語として頒布されるようになった。さらに、フィルタ設計や最適化問題あるいは制御のシミュレーションなどに便利な、Toolboxと呼ばれるアプリケーションごとのルーチン集が別売りされるようになって、CADツールとして研究機関や産業界で広く用いられるようになった。MATLAB本体はあくまでもキャラクタベースでコマンドをスクリプトとして記述しプログラムを行う形態のツールであるが、制御の分野でMATLABが広く用いられる様になったのは、ブロック線図をカットアンドペーストでグラフィカルに作成することで非常に簡単に過渡応答の計算ができてしまうSimulinkというツールがMATLAB上で動くようになってからであろう。

 本演習でもMATLABの基本機能と、Simulinkを必要に応じて使い分けながら作業を進めて行くが、その便利な機能を堪能すると同時に、安直にその便利さに溺れることなく、問題そのもののもつ物理的本質やディジタルシミュレーションに伴う様々な問題点に注意しながら、頭を使って結果を考察するようにしよう。

 与えられた問題の他にも、自分自身で発展例題を作成しあるいは参考書を参照して興味のある問題を探してそれを解いてみることは大いに推奨される。この演習で用いているMATLAB/Simulinkは、以前書籍の付録として配布されていたStudent Editionであるため非常に複雑な問題を考えると、変数の数やブロックの上限が問題となる可能性もあることに注意してほしい。現在では、最新商用ソフトの学生版 Student Version として大学生協の店舗などで、学生個人がよりよいものを購入することができる。

(詳細はソフトウェアのマニュアルを参照のこと。例:http://www.mathworks.com/access/helpdesk/help/toolbox/control/

 MATLAB/Simulinkの使い方に関しては、演習の現場でも指導を行うが、現場で閲覧できるStudent Edition のマニュアル(英語版)のほか、生協にもいくつかの成書があるのでそれを各自で適宜選択して購入するとよい。たとえばこの演習の内容に近いものとしては

西村, 野波:「MATLABによる制御理論の基礎」東京電気大学出版局1998年

などが最近出版されている。またMATLABの概要を知りいくつかのデモなどがみたければ、このソフトを日本で販売しているサイバネット社のホームページ http://www.cybernet.co.jp/products/matlabを覗いてみると良いであろう。

 演習で用いているMATLABは、オンラインヘルプもマニュアルもすべて英語で書かれているが、少し慣れれば難しいことはない。このようなマニュアルは、翻訳されたものよりも原文を読んだほうがずっとわかりやすいことを実際の研究の中でしばしば経験する。また、プログラム中のコメントやグラフの軸などもすべて英語で書かねばならない。もちろんローマ字で日本語を書くことは可能である。技術的な英語を用いることにアレルギーを起こさず、良い訓練の機会と思って積極的に活用し、必要なtechnical termを覚えてしまうと良い。


2. 日程と学習内容

 本演習は、電子情報学専攻貸与のノートPCを用いて、工学部2号館12階の古関研究室にて、教員およびTAの指導の下で行う。週1回のペースで6週で完結する。その概要を以下の表に示す。主として制御工学Iの内容に準拠している。制御工学Iの教科書の該当箇所を読み事前に準備することが可能である。具体的演習問題説明などは配布プリントとして、この古関隆章ブログ からテキストをダウンロードをしていただきたい。 制御工学IIの内容として演習の課題となりうるものとしては

2.1. ディジタル制御:Z変換
微分と疑似微分:Bode線図と波形の応答/Tustin 変換と厳密なZ変換の応答の比較
MatLabを用いたディジタルフィルタの設計

2.2. 状態方程式と伝達関数:相互の書き換え 極配置に基づく状態フィードバック
時不変線形システムの最適レギュレータ問題と結果として与えられる極配置の関係

2.3. 状態観測器の設計

2.4. 定常カルマンフィルタ

などが挙げられる。これらを本演習の基礎編で本格的に扱うことは時間の制約上残念ながらできないが、今は、制御工学第一の範囲で状態空間法入門を扱っているので、これに関する演習も原理的に可能である。4回までの演習でMATLABを用いた作業に習熟したら、その後の選択課題の中で、これら冬学期の講義内容にも関係する課題に積極的に挑戦し、授業で習った内容の理解に役立て欲しい。



第1回: MATLAB/Simulink入門、微分方程式とラプラス変換

第2回: システムの応答, システムの周波数特性とボーデ線図, 安定性の解析: ラウスの判定法, フルビッツの判定法, ナイキストの判定法

第3回: 二次系の性質と極の位置, フィードバック制御の特性, フィードバック制御の設計

第4回: PI(D)制御とI-P(D)制御と分子多項式の影響/二自由度制御, フィードバックとフィードフォワード, 状態空間法入門

選択課題: 第5, 6回 発展課題:磁気浮上, 電気自動車の制御, カオス現象の解析と制御など

3. 参考書

なお、演習に役立つであろう制御理論に関する参考書としては、講義で指定している堀の教科書「制御工学の基礎」の他、

[1] 茅陽一:「制御工学第一」

[2] 細江繁幸:「システムと制御」オーム社

[3] 伊藤正美:「制御理論演習」 昭晃堂

[4] 平井一正, 羽根田博正, 北村新三:「システム制御工学」森北出版

などがあるので適宜自分の気に入ったものを参照して欲しい。


4. 有用なフリーソフトに関して

 このガイダンスの文書は、Sun Microsystemsが本学の情報基盤センターを通じて学内関係者にフリーで使用権を認めてくれているStarSuiteというソフトを用いて作成している。本演習ではレポート用のワープロ、作図、数式エディタを用いてレポートをまとめたいという履修者の希望に対応するため、フリーソフトであるopenoffice.orgを2002年度から導入した。その後、本来商用ソフトであるStarSuiteがGoogleパックスの形で実質的に自由に使えるようになったため、StarSuiteあるいはLaTexを使用してレポーティングを行うことを推奨する。

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 また、本演習で用いているMATLABは、比較的高価な商用ソフトであり、自宅学習用に配布することはできない。(演習で用いているソフト自体が、機能限定のついた学生版の古いバージョンのものである。)しかし、MATLABに対しても俗称MATLABクローンと呼ばれる優秀なフリーのソフトウェアが存在する。自習用にはフリーソフトSciLabをhttp://www-rocq.inria.fr/scilab/からダウンロードして、自分のPCにインストールし使用してみることも奨める。これらフリーソフトに関しては


早稲田大学の大石先生による数値計算の基礎教育のページ
http://www.oishi.info.waseda.ac.jp/~oishi/lec2001/l-1.htm

メディアラボのホームページにあるフリーの科学技術計算用のプログラム
http://www.mlb.co.jp/linux/science/

特に、シミュリンク相当のツールもあるプログラムの紹介
http://www.geocities.jp/rui_hirokawa/scilab/

などのページが参考になろう。(2008年10月01日リンク有効確認済。)

インターネットのキーワード検索で「Matlabクローン」などの用語で検索すると、様々な関連プログラムの情報が得られる。なお、これらのフリーソフトウェアに関する情報は、古関の個人HP (http://www.geocities.jp/takafumikoseki/)にも掲載している。Linux環境上で理工学系の仕事をすることは、最近のユーザフレンドリなOSの普及によりかつてなく容易になっている。ここで述べた計算やレポート作成のための環境は

Ubuntu: http://www.ubuntulinux.jp/

Fedora9: http://fedoraproject.org/ja/

などを用いることで、今日では非常に安価に個人でも構成することが可能である。

3年生冬学期講義「制御工学第二」の進め方に関して(10/1暫定版)

(変更は、適宜修正・付記します。)

本講義の指定教科書はありません。
 「新: 制御理論の基礎 昭晃堂」は、特に制御工学全般を短時間で見渡すのに優れた参考書であると思います。
 下に推奨参考書として挙げている、堀洋一著「応用制御工学」(丸善出版)は現在入手困難と思われます。図書室などで必要に応じてご覧ください。

 (講義にご参加いただいている中でより詳しく学びたい皆様には、
著者である堀先生のご厚意により堀先生の書かれた教科書用原稿電子ファイルを上巻相当の内容下巻相当の内容)から特別に御覧いただくことができます。なお、左記のリンク情報は2週間ほどをめどに削除の予定です。)

10/7の講義で説明した、夏学期 制御工学第一の状態フィードバックに関係する期末テストの解説(デモ)に用いたMatlabのソースを以下に示しておきます。

% ex081007.m: CTRL example  program coded by KOSEKI, OCT 2008
 
clear all
%-----Definition of physical constants
 %%%---Fundamental state feedback---
%
A0=[0,1; 10,0 ]
B0=[0;1] 
C0=[1,0]
D=0

%---Pole placement---
Te=1/sqrt(5) % Equivalent settling time
% --3rd order Kessler canonical form---
H=[Te^2/2, Te, 1];
P=roots(H)

F=acker(A0, B0, P)

sys0=ss(A0, B0, C0, D)
sys1=ss((A0-B0*F), B0, C0, D)


figure(1); pzmap(sys0); sgrid
figure(2); pzmap(sys1);sgrid

figure(3); step(sys1)


--以下は第1回目の講義の導入資料--
制御工学第II (火曜日第一限 242教室)
古関隆章・堀 洋一
Ext. 26676, takafumikoseki @ ieee.org

制御工学第二講義予定
(01) 10/07 状態空間におけるシステムの取扱(1):夏学期の復習、状態変数と状態方程式、状態遷移行列
(02) 10/14 状態空間におけるシステムの取扱(2): 実現問題、時間応答シミュレーション
(03) 10/21 状態空間におけるシステムの取扱(3):状態フィードバック、最適制御、演習出題
(04) 10/28 堀教授特別講義 (電気自動車とモーションコントロール)
(05) 11/04 状態空間におけるシステムの取扱(4): 状態推定、システム同定
(06) 11/11 状態空間法、最適制御演習
(07) 11/18 ディジタル制御(1): 空間量子化と時間量子化
(08) 11/25 ディジタル制御(2): サンプリング動作の数学的表現、サンプリングを含む系の取扱とZ変換
(09) 12/02 呉助教特別講義 (福祉制御工学)
(10) 12/09 ディジタル制御(3): ディジタル系安定性判別、ディジタル系のアナログ近似、演習出題
(11) 12/16 ディジタル制御(4): 有限整定とデッドビート応答
(12) 01/13 状態推定法、ディジタル制御演習
(13) 01/20 非線形制御入門 演習出題
(14) 01/27 予備日
(##) 02/03 or 02/10 期末テスト

制御工学第一の内容(復習)
1.序論
 1.1  制御工学とは何か
 1.2  制御システムの例,分類
 1.3  閉ループ制御と開ループ制御
 1.4  制御工学の歴史

2.システム動特性の表現
 2.1  信号伝達と状態遷移
 2.2  動作点まわりの線形化
 2.3  線形システムの表現
(2.4  ラプラス変換法の基礎)
 2.5  ブロック図とその合成
 2.6  特性の計測法

3.制御システムの安定性
 3.1  線形システムの安定性
 3.2  ラウスの安定判別法
 3.3  ナイキストの安定判別法
 3.4  フィードバック系の安定度指標

4.フィードバック制御系の基本特性
 4.1  入力追従特性と外乱抑圧特性
 4.2  定常誤差と誤差係数
 4.3  2次系の過渡応答
 4.4  2次系の周波数応答
 4.5  高次系の代表根

5.線形フィードバック系の補償
 5.1  フィードバック制御系設計の基本指針
 5.2  直列補償とフィードバック補償
 5.3  ニコルズ線図を用いた制御系設計
 5.4  根軌跡を用いた制御系設計
 5.5  直列補償とPID調節計
 5.6  フィードバック補償

制御工学第二から制御工学第一への移行
 古典的制御の復習と状態空間法との関係(フィードバック制御と多項式法など)
 状態空間におけるシステム序論:連続量と離散量

---

2. 教科書・参考書
新: 制御理論の基礎 昭晃堂
堀・大西: 応用制御工学  丸善
ただし、これは教科書指定ではなく、推薦参考書なので、授業では該当ページを示すのみで板書の内容と一対一の対応にはなっていない。主として、自宅学習や演習問題を解く際の参考として活用してほしい。具体的にはいろいろと探してみて自分に合うと思う本を買って学ぶのが良い。

平井・羽根田・北村: システム制御工学  森北出版
金原・黒須: ディジタル制御入門  日刊工業新聞社
小郷・美多: システム制御理論入門 実教出版社
正田: 制御工学  培風館 
前田・杉江: アドバンスト制御のためのシステム制御理論 
システム制御情報学会編 朝倉書店

MATLAB: SimuLink, Control tool boxなど
計測制御学会誌、電気学会雑誌、論文誌など

3. 授業の受け方

式を自分で追ってみる-------演習問題。
月曜午後の演習のようにSCILABなどを用いたシミュレーションもできると良い。
演習問題のレポートをすべて期限内に提出することを、期末試験を受ける条件とする。

A4の方眼紙をノートとせよ: 授業は基本的に板書を中心に行う。
色鉛筆を用意する-------作図の理解に便利。
昨今は振替休日のため、月曜日の講義の回数が少なく、最後に時間がなくなって非線形制御の解説は手薄になりがち。冬休みなどに「基礎制御工学」の相当部分を自主的に読んでもらえるとありがたい。

本資料の更新版をはじめ、講義中の資料は必要に応じて、http://takafumikoseki.blogspot.com/ から入手可能なようにアップロードします。

2008年度冬学期のスタート(10/01初稿)

しばらく、本ブログの更新が止まっておりましたが、本日冬学期の初日を迎えました。本学期は、古関は制御工学第二と制御CAD演習を主として担当いたします。

 制御CAD演習は、昨年度も述べたとおり、必ずしも演習の履修者でなくても、このページからテキストを入手し、フリーの制御CADソフトを活用することで自習ができます。このページから、テキストをダウンロードしご活用ください。

 制御CAD演習の履修者は、時間を有効に使えるよう予習をして演習に臨むよう努めてください。良い学習成果を挙げられるよう、皆様御自身の御努力と講義・演習へのご協力ををよろしくお願いします。

2008年7月25日金曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第13回 080707 を終えて

(本記事の掲載が手違いで遅くなりましたことをお詫びします.メールでのご指摘ありがとうございました.)

本日は、パワー素子、信号処理とパワーのエレクトロニクスの相違、DC/DC, AC/DC, AC/AC, DC/AC変換, 自己能力を持たない素子と転流回路、高調波問題と解析法についての説明をし講義をすべて終了しました。

今後の予定は以下のようになります。

14) 2007/07/28 10:15-11:45 月 期末テスト 1限の制御工学第一@241号室の期末テストに引き続き245室にて「電気機器学基礎」の期末テストを行います。(月曜日の講義は大変ですね!)


------第13回目の演習問題(7/28提出分)------
(手違いで公開が遅くなりましたことをお詫びします。)

所属学科/学生証番号/氏名 

[1] パワーエレクトロニクスにおける半導体素子の用い方の特徴は何か?を、一般のアナログ信号増幅器におけるトランジスタ、FETなどの機能と比較して述べよ。

[2] サイリスタを用いた点弧角による電圧制御(=出力電圧の点弧位相角制御)について、単相のサイリスタ整流器を例として、その回路図と主要な部分の電圧、電流波形を示して説明せよ。そして、この制御方式で、電圧を絞っていく際に生じる問題点は何かを説明せよ。

2008年7月17日木曜日

Information on Semeter Report of Control & System Theory by Prof. Hori etc

Control & System Theory
Report Problems
(Hori, Koseki, Hashimoto, Kubota, Sakai and Oh)

Deadline: 2008.8.15

Send your report and the original papers you read in (1) by email as PDF format,

WITH: "Subject: CS Report by YOURNAME"

TO:
y.hori AT ieee.org
takafumikoseki AT ieee.org
hashimoto.tatsuaki AT jaxa.jp
kubota AT isas.jaxa.jp
sakai AT isas.jaxa.jp
sehoon AT horilab.iis.u-tokyo.ac.jp

simultaneously.


ABOUT:

(1) Read more than 2 original papers on control theory which were published in recent 3 years, summarize them, and give your own comment on their relation and significance.

(2) Make a problem on control theory and give its solution. The problem should be as mathematical as possible.

(3) Choose one professor and give your impression on his lecture and suggestion for future improvement. More general impressions and suggestions will be also welcome.

●解答は日本語でも結構です。

2008年7月2日水曜日

駒場夏学期 交通ラボ講義 人間環境一般「人間社会と交通システム: 電気駆動による車両の支持/推進/案内と運動制御」080701 を終えて

 本日は、電気駆動による車両の支持/推進/案内と運動制御と題して、磁気浮上鉄道、リニアモータを利用した軌道系交通システム全般について説明をしました。ちょっと話す範囲を広げすぎてしまったので、初学者から見てあまりまとまりのない話になってしまったかと思います。至らなかった点はお詫びします。

 講義中にスライドでお示しした本日出題の古関のレポート課題は以下のとおりです。

------レポートの課題------
本講義で紹介した、電磁力発生技術を用いて、車両を駆動/支持/案内する方法の
現存する方式の分類
必要な技術要素
長所と問題点
について、まとめよ。

そして、これらの技術的背景に基づき、今後の交通システムの中での、電気鉄道、磁気浮上鉄道など軌道系交通の果たす役割の将来像に関する自分自身の意見を、判断の根拠を論理的に示しつつ述べよ。
-------------------------

来週は最終回で、産業界でのご経験豊富な特任准教授の北村先生がご担当されます。どうかきちんと出席して最後までよく学んでください。

2008年7月1日火曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第12回 080630 を終えて

本日は、直流機の電機子反作用、励磁方式(巻線接続の仕方)と発電機の負荷特性・電動機の速度特性、パワーエレクトロニクス以前の主要な速度制御方法と、制御工学との関係で直流サーボモータの過渡特性のモデル化について説明をし、本講義で予定していた回転形の電気機械について説明する部分をすべて終了しました。

これに伴い今後の予定は以下のようになります。

12) 2007/06/30 月 直流機 
直流機の電機子反作用、結線方法と特性の相違

13) 2007/07/07 月 パワーエレクトロニクス入門
パワー素子、信号処理とパワーのエレクトロニクスの相違、DC/DC, AC/DC, AC/AC, DC/AC変換, 自己能力を持たない素子と転流回路、高調波問題と解析法
(<==ちなみにこの日の1限の制御工学第一では、主として状態空間法の基礎を概説しますが、その例題として直流機の制御について言及するつもりです。)

14) 2007/07/28 10:15-11:45 月 期末テスト 1限の制御工学第一@241号室の期末テストに引き続き245室にて「電気機器学基礎」の期末テストを行います。(月曜日の講義は大変ですね!)
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前回出題した演習問題

「(2) 直流機の電機子巻線の電圧方程式とトルクの式を、モータ定数Kを用いて示せ。この電機子巻線の電圧方程式の両辺に電機子電流を掛け算することで、直流機におけるパワーの流れを説明せよ。」 に関するレポートとして提出された内容に関する注意 (なぜか2名がまったく同じ誤りを記しており、基本的物理現象が理解されていないことを懸念しますのでここで特にご注意申し上げます。)

入力電力 V * i_a = r_a i_a^2+T %omega + d/dt (1/2 L_a I_a^2)

右辺第一項 = 電機子巻線におけるジュール損失
右辺第二項 = 機械出力 とここまでは良いのですが、

右辺第三項 = 正しくは、「機械内部に蓄積される磁場エネルギーの変化」です。
これを第一項と同じ「コイルによる損失」と記した方2名とは 08398, 08406です。

------第12回目の演習問題(7/07提出分)------
所属学科/学生証番号/氏名 

直流機・整流子形機械の特性 演習問題:

(1) 分巻モータと直巻モータの速度特性の相違を比較し説明せよ。

(2) 直流機を用いた速度制御法であるワード・レオナード法を説明し、その問題点を述べよ。

2008年6月23日月曜日

重要: 総合科目 人間・環境一般 「足からロケットまで---走る/飛ぶ/探る科学入門 」の最終レポート課題出題

重要:

本講義の成績評価の主たる部分は以下のレポートの評価結果に基づき行います。

(本日、このアナウンスを出すのは、6/6の講義の際にご相談したとおり、期末試験期間に入る前に十分な時間的余裕を持ってレポート作成をしたいという方のご要望に答えるためです。)

レポートを、以下の要領でe-mailで提出してください。成績評価は、レポート採点結果と講義への出席回数を総合し、厳正に行います。

(重要な修正:7/4の議論の結果、レポー締切り日を下記の日まで延長しました。ただし、2年生の履修者については、進振りとの関係でより早い時期に成績を出す必要のある可能性があるため、教務課にスケジュールを確認後、再度連絡します。)
[1] 締め切り 2007/07/31(木曜日) 12:00 JST
[2] 提出先 pdfのe-mailの添付ファイルとして takafumikoseki AT gmail.com あてに 
(古関から受け取り確認のメールを返しますので、その確認の連絡が2-3日以内に来ない場合には古関まで確認のご連絡をお願いします。)

[3]提出に関する技術的注意と参考情報
ワープロなどは任意ですが、 フリーのopenoffice.orgを用いれば、数式を用いた文書もpdf化も含めすべて簡単に処理できます。(ちなみにこのページや教材の作成は、OSすらWindows環境ではなく、Ubuntu上のソフトですべてを行っています。)
google docsを用いても図入りの文書作成とpdf化は可能です。(数式作成機能はありません。)
また、任意の文書ソフトからのpdf化もフリーのツールで可能です。
大きいファイル(数百 kB以上?)をメールに添付することは避けてください。そのような場合には senduit などをご利用ください。(100MBまでのファイルならば簡単に送ることができます.)


[4] レポート課題

課題名:  (課題1. )  ○○○○
学生証番号: ○○○○    提出者氏名: ○○○○
関係講義テーマと採点希望教員: ○○○○ (末尾の参考資料から選択)

-----------------------------------------
課題1: 参考資料にある講義課題に関係するキーワードを選び、自分の興味のあるテーマを1つ設定して、それに関して、(単なる調査ではなく)必ず自分の意見を入れて、A4 レポート用紙で、6ページ以内で論じてください。

(調査・参考した資料については、末尾に参考文献リストを記載し明示すること。)

課題2: 本講義の良かったところ悪かったところを忌憚なく御指摘ください。特に、来年度以降の講義の改善に役立つような、積極的批判、ご意見を期待しております。

(講義時間帯、講義の進め方、教室、話題の選択、成績評価の方法など、気づいたことは何でも遠慮なく指摘してください。教員に対して厳しいことを書いたから、評価が悪くなるということはまったくありませんので、遠慮なく意見を述べてください。)

-------------------------------------------
参考資料:本年度の講義の担当教員とキーワード
4/18 古関 ガイダンスおよび力学、電磁気の基礎
4/25 堀 電気自動車の科学
5/9 橋本 宇宙で使われる電気電子工学:
   宇宙で使われる物理、数学、電気電子工学について解説。 あわせて、宇宙研紹介。
5/16 呉(堀研) パーソナル移動アシストを目指した電気駆動と制御技術
    (パワーアシスト、二足歩行を例に)
5/30 (堀・)古関 生産研見学 16:20-... 電気自動車とスーパ・キャパシタ
6/06 古関 電気駆動と環境 
6/13 橋本 惑星探査機は電気で動く
6/20 久保田 宇宙探査ロボティクス
6/27 大崎 超電導技術と輸送の科学
7/04 古関 電気駆動と環境(続き) 電気鉄道とエネルギーマネージメント
7/09(水) 古関(大崎) 磁気浮上 リニアドライブ
7/11 坂井 人工衛星をどうやって動かす?  姿勢制御と超電導フォーメーションフライト



*なお、採点してくださった先生からのフィードバックが皆さんのもとにメールで返るように努めます。

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第11回 080623 を終えて

本日は、直流機の原理、構成と、電機子巻線の電圧方程式と、直流機における電気ー機械エネルギー変換におけるエネルギーの流れについて統一的に解説をしました。特に、電機子の電圧方程式を、電気機器学基礎で扱う、定常現象としての直流の回路方程式と、電流が変化する際に巻線のインダクタンスの影響が生じることから、過渡現象として扱う場合の方程式を比較して議論することを通じて、制御工学第一やモーションコントロールの講義との関係についても述べました。整流子形の機械では、電機子電圧から電流への伝達関数の時定数が、界磁巻線に比較して著しく小さいことから、古来、良い制御の応答を得るために、界磁電流を一定に保ち、電機子電流を積極的に変化させる制御が用いられてきたこと、パワーエレクトロニクス+ACモータを用いる今日のサーボ制御でも、特殊な座標変換を用いることで、仮想的に電機子巻線、界磁巻線を分離した考えかたをしており、直流モータの制御方法をきちんと理解することが非常に重要な基礎になることを強調しました。

これらの点を良く意識していただいた上で、次回は、直流機の電機子反作用、励磁方式(巻線接続の仕方)に伴う特性の相違を解説します。

------第11回目の演習問題(6/30提出分)------
所属学科/学生証番号/氏名 

同期機の試験法、直流機・整流子形機械一般 演習問題:

(1) 1980年くらいまで、速度制御に要する車両やエレベータの駆動、オートメーションなどに専ら整流子形の機械が用いられてきた理由は何か?その後、このタイプの機械の使用(新設)例が急速に減少しているのはなぜか?

(2) 直流機の電機子巻線の電圧方程式とトルクの式を、モータ定数Kを用いて示せ。この電機子巻線の電圧方程式の両辺に電機子電流を掛け算することで、直流機におけるパワーの流れを説明せよ。

2008年6月16日月曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第10回 080616 を終えて

本日は同期発電機の基本的試験法、無負荷飽和曲線と短絡電流特性、同期発電機の並行運転を説明し、さらに同期電動機の概要、特に界磁電流の調整により、電機子電流の力率調整が図れること(V特性)およびそれに関連する話題として同期調相機の役割について述べました。最後に直流機と同期機は回転磁界を整流子によってつくるか、多相交流によって作るかの違いのみであって、機械としての基本動作が全く同じであることを説明しました。次回は、この話を受けて、5章の直流機の各論を扱っていきたいと考えています。



------第10回目の演習問題(6/23提出分)------
所属学科/学生証番号/氏名 

同期機の試験法、同期電動機 演習問題:

[1] 同期発電機の基本的試験法について説明せよ。
[2] 同期発電機の並行運転の際に注意すべきことを述べよ。
(発電機の界磁電流を調整することで何を変化させることができるか?発電機の出力電力の調整のためには何を制御する必要があるか?)

2008年6月9日月曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第9回 080609 を終えて

本日は同期発電機の等価回路、フェーザ図と出力特性、円筒機、突極機とd軸・q軸の定義など、同期機を扱うための理論の最も大切な部分を扱いました。次回は同期電動機の話を中心にするため、実用上重要な同期電動機のV特性について、課題レポートをまとめる中で予習をしてきてください。また、本日講義の中で、教科書の記述に譲らざるを得なかった、d, q軸の異なるリアクタンスを考慮した場合のフェーザ図も、課題レポートの中で、自分自身で手を動かして書いてみてください。

講義の中で強調したように、同期機のフェーザ図を描く上で最も重要なポイントは、空間ベクトルとフェーザを1つの図の上に重ねて書くために「起磁力とそのもととなる電流のベクトルを同じ方向に書く」ということです。


------第9回目の演習問題(6/16提出分)------
所属学科/学生証番号/氏名 

同期機基礎 演習問題:

[1] 突極形発電機のフェーザ図を示し、それに基づき突極形発電機の出力の式を示せ。また、出力の2項のそれぞれについてそれらの意味を説明せよ。
[2] 次回の解説の予習として教科書/参考書を調べて、同期電動機のフェーザ図を示し、同期電動機のV特性と、同期機を用いて力率を調整する方法を説明せよ。


これまでの進捗状況を反映し、当初予定を下記のとおり、微修正します。

----本学期の講義予定(6/23 修正版)----
電気系事務室のアナウンスによれば

  4/3-7/17が講義期間、
  7/18-31が期末テストの期間

とされています。

回数 日 曜日 テーマ 内容

1) 2007/04/07 月 はじめに
電気-機械エネルギー変換、電気機器の種類と歴史、エレクトロニクスとパワー、電気機械エネルギー変換技術の社会的役割とその重要性

2) 2007/04/14 月
電気機器学の学問としての位置づけ、電気機械の種類、(回転系を中心とした)古典力学と電磁気の復習、思考の手抜きの技術としての電気回路、フェーザ表示

3) 2007/04/21 月 多相交流と進行磁界
多相交流、三相巻線と進行磁界、回転磁界の数学的表現方法、力とトルク、その物理的意味

4) 2007/04/28 月 誘導電動機I
誘導機の原理と特長、誘導機の構成、変圧器と誘導電動機

5) 2007/05/12 月 誘導電動機II
誘導電動機の原理と特性表現法(=T型、π型等価回路)、モデル同定のための測定法、円線図を用いた特性の表現

6) 2007/05/19 月 誘導電動機III
誘導機の種類とエネルギーの流れ、誘導機の可変速制御、空間高潮波とゲルゲス現象などの諸注意

7) 2007/05/26 月 同期機I
同期発電機の原理、構造と機能上の分類

8) 2007/06/02 月 同期機II
同期機の構成要素、電機子巻線、空間高調波の低減法と巻線係数、電機子反作用

9) 2007/06/09 月 同期機III
同期発電機のフェーザ図、等価回路と特性のモデリング
円筒機、突極機と直軸リアクタンス、横軸リアクタンス
同期発電機の出力とリラクタンス出力

10) 2007/06/16 月 同期機と直流機
測定法、
発電機の並行運転と電力系統、
トルクの発生原理、同期電動機の種類とその特長
v特性と同期調相機、永久磁石同期電動機とサーボ制御
同期機の原理と直流機の関係

11) 2007/06/23 月 直流機 電気機械一般の座標変換
直流電動機と発電機
直流機の種類と特性の比較
エネルギー流れの理解、過渡現象の理解、制御と電気機器の一般理論

12) 2007/06/30 月 直流機 
電機子反作用、直流機の結線方法と特性の相違

13) 2007/07/07 月 パワーエレクトロニクス入門I
パワー素子、信号処理とパワーのエレクトロニクスの相違、DC/DC, AC/DC, AC/AC, DC/AC変換, 自己能力を持たない素子と転流回路、高調波問題と解析法
(<==ちなみにこの日の1限の制御工学第一では、主として状態空間法の基礎を概説しますが、その0打意図して直流機の制御について言及するつもりです。)

14) 2007/07/14 月 パワーエレクトロニクス入門II
自己消弧能力を持つ素子とPWM, ACモータのインバータによる可変速駆動, サーボモータ
電気駆動制御

制御工学との関係:定常現象と過渡現象、産業応用の話題(電機駆動とモーション制御)


15) 2007/07/28 10:15-11:45 月 期末テスト
1限の制御工学第一@241号室の期末テストに引き続き245室にて「電気機器学基礎」の期末テストを行います。(月曜日の講義は大変ですね!)

2008年6月2日月曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第8回 080602 を終えて

 どうもこのページの記述に6/2の講義予定が落ちていたということで、ご迷惑をおかけしました。本日はそのためか出席者が少なかったので、同期機の構成要素、電機子巻線、電機子反作用について時間をかけて解説をしました。HPの記述漏れのせいで休講だと誤解した方が不利にならぬよう、本日の宿題レポートは課していません。次回は同期機のフェーザ図を描いて特性の算出をする重要な部分になりますので、p122の4.5節をよく読んできていただくようお願いします。また、本日レポートを出さなかった方は来週6/9にお出しください。
 また、予習の際に気づかれると思いますが、p131に記述のあるポーシェリアクタンスについては教科書のほかの部分で解説がなされていません。(昨年度推奨参考書であった仁田他「大学課程 電気機器(1)」にも、全く記述がありません。)
 Googleで調べましたが、専門的言葉であるためか、日本語では京都大学の研究論文に関する記述以外の記載は発見できませんでした。英語ではPotier reactance あるいはPotier triangleという用語で検索できます。
 電気工学ハンドブック(電気学会)の記述に基づき、次回講義にて簡単な説明を行います。図上での計算法は比較的単純です。

2008年5月26日月曜日

電気機器学基礎 講義スケジュール6/2改訂版

これまでの進捗状況を反映し、当初予定を下記のとおり、微修正します。
6/2の講義予定の記述漏れがあったので訂正します。

----本学期の講義予定(6/2 修正版)----
電気系事務室のアナウンスによれば

  4/3-7/17が講義期間、
  7/18-31が期末テストの期間

とされています。

回数 日 曜日 テーマ 内容

1) 2007/04/07 月 はじめに
電気-機械エネルギー変換、電気機器の種類と歴史、エレクトロニクスとパワー、電気機械エネルギー変換技術の社会的役割とその重要性

2) 2007/04/14 月
電気機器学の学問としての位置づけ、電気機械の種類、(回転系を中心とした)古典力学と電磁気の復習、思考の手抜きの技術としての電気回路、フェーザ表示

3) 2007/04/21 月 多相交流と進行磁界
多相交流、三相巻線と進行磁界、回転磁界の数学的表現方法、力とトルク、その物理的意味

4) 2007/04/28 月 誘導電動機I
誘導機の原理と特長、誘導機の構成、変圧器と誘導電動機

5) 2007/05/12 月 誘導電動機II
誘導電動機の原理と特性表現法(=T型、π型等価回路)、モデル同定のための測定法、円線図を用いた特性の表現

6) 2007/05/19 月 誘導電動機III
誘導機の種類とエネルギーの流れ、誘導機の可変速制御、空間高潮波とゲルゲス現象などの諸注意

7) 2007/05/26 月 同期機I
同期発電機の原理、構造と機能上の分類

8) 2007/06/02 月 同期機II
同期機の構成要素、電機子巻線、空間高調波の低減法と巻線係数、電機子反作用

9) 2007/06/09 月 同期機III
特性のモデリングと測定法、
発電機の並行運転と電力系統、
トルクの発生原理、同期電動機の種類とその特長、
v特性と同期調相機、永久磁石同期電動機とサーボ制御
同期機の原理と直流機の関係

10) 2007/06/16 月 直流機
直流電動機と発電機、直流機の種類と特性の比較

11) 2007/06/23 月 座標変換
エネルギー流れの理解、過渡現象の理解、制御と電気機器の一般理論?

12) 2007/06/30 月 パワーエレクトロニクス入門I
パワー素子、信号処理とパワーのエレクトロニクスの相違、DC/DC, AC/DC, AC/AC, DC/AC変換, 自己能力を持たない素子と転流回路、高調波問題と解析法

13) 2007/07/07 月 パワーエレクトロニクス入門II
自己消弧能力を持つ素子とPWM, ACモータのインバータによる可変速駆動, サーボモータ

14) 2007/07/14 月 (基本的には予備日)
電気駆動制御
制御工学との関係:定常現象と過渡現象、産業応用の話題(電機駆動とモーション制御)、
機器設計に伴う諸問題==>電磁界数値解析、

15) 15) 2007/07/28 10:15-11:45 月 期末テスト
1限の制御工学第一@241号室の期末テストに引き続き245室にて「電気機器学基礎」の期末テストを行います。(月曜日の講義は大変ですね!)

2008年5月25日日曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第7回 080526 を終えて

本日は同期機の基礎を扱いました。しかし、等価回路やフェーザ図など、定量的議論ができるところまでは講義を進められなかったので、昨日掲げた問題は次回以降に持ち越して、下記の問題に書き換えます。

(実は、「前倒しで仮掲載」との注意書きをつけていたにも関わらず、本日提出のレポートの中で、間違えて、本日提出予定の課題ではなく巻線係数や円筒形同期機の等価回路のレポートを出した人もいます。講義で解説しようがしまいが、自分で本を調べて作業をすれば関係ないということですね。笑)==> 本日間違えて提出した人、誘導機円線図について十分な調査をせずに不本意なレポートを出さざるをえなかった人(五月祭の翌日だから仕方がない?)は、来週改めて出し直してください。(提出が1週間遅れることのペナルティは課しませんのでご安心を。きちんと自分で勉強してタイムリーに必要な知識を身につけることがなによりも大切です!


------第7回目の演習問題(5/26午後改訂)------
所属学科/学生証番号/氏名 

同期機基礎 演習問題:

[1] 同期機の特長を誘導機との比較の中で論じよ。
[2] 同期機を機能上の観点から分類し、近年の応用上の傾向について簡単に説明せよ。

2008年5月24日土曜日

総合科目 人間・環境一般 「足からロケットまで---走る/飛ぶ/探る科学入門 」の講義資料の電子ファイル公開について

対応が遅くなってすみませんが、これまで行われた講義の資料を、ご担当の先生方から入手することができましたので、その情報を以下から入手できるようにしておきます。

   6/9以前の講義資料を入手するためのリンク先はこちら

著作権などの問題のある資料については講義聴講者だけのために、講義の最初にお知らせをしたPWを付してあります。(忘れた人は、古関にお問い合わせくださればお答えしますが、基本的に○○コ○ドと同じです。)

----6/9追記分-----
6/6の古関担当分「環境と電機駆動」のスライドを追加しました。(6/9)
このあと、2回分は宇宙関係の話題が続きます。

----6/16追記分-----
6/13の橋本教授の宇宙研のプロジェクトに関するスライドファイルをいただきました。こちら(右クリックで保存)をご覧ください。講義でご説明したPWをつけてあります。(あるいは上記のヒントを参照。)

ご要望にしたがい、レポート課題を6/23くらいには、このブログで具体的にお示ししたいと考えております。==>本件6/23に措置しましたので、6/23 のページをご覧ください。「足からロケットまで」のラベルで簡単に検索できます。

----6/23追記分----

6/20の久保田准教授の宇宙探査ロボティクスのスライドファイルはこちらでは公開しない予定です。特段の御要請があれば古関までご連絡ください。

2008年5月19日月曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第6回 080519 を終えて

講義の最初に勘定を間違えたようです。今回はすでに第6回目の講義でしたね。
この回で誘導機に関する説明は単相小型のタイプも含め終了し、同期機の説明に入りました。

レポートの返却はないのかとのご質問がありましたが、TAなどがついておらず、丁寧に1枚1枚のレポートの添削をする余裕がありませんので、残念ながらレポートは成績は評価用にのみ使わせていただきます。しかし、個別の質問や確認の要請があれば、古関にメールあるいは直接積極的にコンタクトしていただければできる限り応じたいと考えています。

---------
次回は、同期機の本格的説明にはいりますので、今回の週レポートでは、誘導機の円線図概要について自分で復習をしていただくとともに、交流機の基礎となる、三相電流と回転次回の関係について自分で作業をし、まとめていただきたいと思います。

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誘導電動機の円線図については、指定教科書には記述がありませんが、多くの伝統的電気機器学関係、および機器設計法のテキストには詳細な記述があります。もちろん電気工学ハンドブックなども参考になると思います。
(版が古いものの方が記述が詳しいです。)

琉球大学の実験に関するテキスト
=> http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/prog/se327646.html

どなたか(Masha氏?)の資格試験に関する資料を掲載したブログ
=> http://masha1977.blogspot.com/2007/05/blog-post_07.html

などに参考になる説明がありました。

円線図を描いて、実務的計算を行うためのフリーソフトも公開されているようです。
=> http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/prog/se327646.html

(リンクをはる許可をページ作成者に得ていないので。リンク情報をテキストで掲載します。)また、Scilabを用いた円線図の描画の仕方については前期実験の誘導電動機のところにソースプログラム例も含む形で詳述してあります。
(ただし、一部グラフ文字列の細かな様式指定部分について、Scilabの現バージョンでは微小修正をする必要がある旨の報告を実験履修者の1名からいただいております。)

------第6回目の演習問題------
所属学科/学生証番号/氏名 

誘導電動機(3)および交流機械の基礎(同期機入門) 演習問題:

[1] 本ブログ2008/04はじめの本講義最初のアナウンスに記載のある参考書や講義ノート、web上の記載などを参照し、誘導機の円線図について調べ、s=0, s=1, およびs=∞の点が図上のどこにくるかに注意して、簡単な例を示し、その意味、動作状態の分類などを説明せよ。

[2] 本ブログ2007/04/16の記載や教科書p106-107を参照し、3相巻線に電流を流し回転磁界を形成する原理を説明せよ。

2008年5月16日金曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第5回 080512 を終えて

本日の講義では、前回に引き続き3号館地下で行う実験を意識し、等価回路の定数を決めるための基本的測定法とその注意点、テブナン定理を応用した等価回路から各種特性曲線を算出する方法など、現場で生きる知識をお伝えするよう努めました。

(さらに、できるだけ午後の実験現場でも、実験を始めねばならない学生さんに必要な補足説明をしております。)

次回5/19は、誘導機の円線図、単相誘導機などを説明した後、同期機の説明に入りたいと思います。

情報の公開が遅くなりましてすみませんが、次回の講義で以下の復習用レポートをいつもと同じくご提出ください。

------第5回目の演習問題------
所属学科/学生証番号/氏名 

誘導電動機(2)
演習問題:
[1] 誘導電動機の(単相)等価回路を示し、その定数を基本的測定によって定める方法を説明せよ。

2008年5月2日金曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第4回 080428 を終えて

本日の講義では、午後の実験を意識して、当初予定していた三相交流の基礎などを思いきって飛ばして、誘導電動機の構造や特徴と、等価回路について説明をしました。しかし、測定法など現場生きる知識をしっかりとお伝えするには至りませんでした。そこで、午後の実験現場で、実験を始めねばならない学生さんに必要な補足説明をしました。

次回5/12は、その内容も含めて、基礎的な測定の考え方と主要特性の算出方法を中心にお話をしたいと思います。

次回の講義で以下の復習用レポートをいつもと同じくご提出ください。

------第4回目の演習問題------
所属学科/学生証番号/氏名 
[1] 誘導電動機の等価回路を示し、各部の抵抗、インダクタンスなどが何を示しているかを説明せよ。特に、スリップsの意味と、二次抵抗部のモデル表現 r_2/sについて、この表記法とエネルギーの流れとの関係を説明せよ。
----------------------------

2008年4月21日月曜日

3年生夏学期講義「電気機器学基礎」第3回 080421 を終えて

本日から本論に入りましたが、やや進行に遅れを生じました。来週は、ホモポーラマシンを例に、電磁誘導現象について簡単に考察したのち、三相交流と回転磁界、誘導機の特性について話を進めたいと思います。

-------------
4/28 第四回目提出用のレポート課題
学生証番号:               氏 名:

(個別のコメントなどのためにe-mail情報も差し支えなければ教えてください。)

[問1] 複素数を用いて正弦波的な物理量の振る舞いを表現するガウスの表示について説明をし、その応用であるフェーザ表示が交流の電気機械の特性表現に便利である理由を説明せよ。(参照:教科書pp.51-55, pp.66-69, p76 図3-15など)

[問2] 質点の力学(一次元の運動方程式)と1軸まわりの剛体の回転に関する運動方程式を並べて示し、その2つの式における力とトルクの対応関係を示せ。また、トルクの単位は何か?

以上、A4の紙一枚以内にまとめて次回4/21の講義時にご提出ください。

4/18 駒場講義「足からロケットまで」第1回目を終えて

雨の金曜日午後遅い時間であったにもかかわらず、熱心な御聴講ございました。また、昨年の配布物に手を加えて準備をし、作業結果の点検が完全でなかったために、配布プリントは講義名などに不備がありましたこと、誠に申し訳ありませんでした。このブログ上の記述が正しく、日程の修正も含め、次回の堀教授の電気自動車の講義の際に、プリントを配布し直していただくようお願いをしています。

1年生の皆さんは、講義の中で分からない言葉4や数式がでてきても、驚かず落ち込まず、それがあたり舞えて思って安心して講義にご参加ください。必要なことは、どうか、遠慮せずに教員にインタラプトをかけて質問するのが良いと思います。

2008年4月14日月曜日

電気機器学基礎 第二回講義 080414 を終えて

本日の講義では、不十分な内容ながら第1回の続きとして

(1) 電気機器の種類と歴史
(2) エレクトロニクスとパワー
(3) 電気機械エネルギー変換技術の社会的役割とその重要性
(4) 電気機器学の学問としての位置づけ、電気機械の種類
(回転系を中心とした)古典力学と電磁気の復習
(5) 思考の手抜きの技術としての電気回路

について、スライドも援用してお話をしました。スライドのコピーは後日PWつきでご覧いただけるようにするつもりです。

来週第3回目に

------第2回目の演習問題------
所属学科/学生証番号/氏名 
[1] 電気機械の運動、電気<-->機械エネルギー変換に関わる物理の体系を基礎方程式を例示しながら説明し、方法論としての「電気機器学」が、これらの基礎的な物理の理論と比較して、現象を考える際のうまい手抜きになっていることを説明せよ。
----------------------------

について、簡単なレポート(A4 1枚)を提出してください。本日、第1回目のレポートを出しそびれた人は来週、それも合わせてお持ちください。

本日の積み残しとなった

(5) 思考の手抜きの技術としての電気回路
(6) フェーザ表示

についてはまた来週、続いて講義を進めていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。

2008年4月8日火曜日

昨今便利に思っているPCをめぐる環境について

 このブログはGoogleの提供するサービスを利用したものですが、最近多くの文書をGoogle docsZohoを利用して作成、管理しています。まだ、多くの人はこれに慣れていないし、企業の方は、会社内のネットワークのセキュリティ設定の問題などでアクセスができない場合もありますが、国際規格の審議などに、オンラインで直接複数の関係者が最新版にアクセスしながら共同作業できる環境は、幹事、事務局側のバージョン管理の手間が大幅に削減できるので良いと思っています。

 Lindowsがエッジ(ホリエモンがライブドアを買収する前に社長をしていた会社?)の商品として出されたころにはあまり現実的でなかった、メールの文書を含め「重要文書が向こう側にある」という環境は、上記に加えてGmailなどを使うようになった今日、現実的に仕事で機能するようになっています。そのLindowsもいまはFreespireとして、数多あるフリーで入手可能なLniux-デスクトップOSの一つとして位置付けられるようになったようです。

 3年前はとてもまともに使い物になるとは言えなかったLinuxマシンで仕事をするということも、ネット接続とFirefoxさえ使えれば、どこでも同じ使い勝手でできる、USBメモリなどのストレージデバイスが手元になくてもとりあえず大丈夫ということになって、現実味を帯びてきました。

 CDで起動するLinuxも、Knoppixが一番と思っていましたが、最近はUbuntuMepisなどの、非常にユーザにとって使いやすい優れたデスクトップOSがごく普通にダウンロードして入手できます。Windows2000やXPの動作が遅くて不自由が感じられるようになりつつある数年前から使っているノートPCで快適に動作するので、重宝しています。プリンタやUSBメモリなどの周辺装置との相性もずいぶんよくなって、mount umountのオプションを明示的に意識することなくデバイスの着脱もできるようになったのもありがたいと感じる今日この頃です。

 これら最近のLinuxは、それなりのマシンスペックを要求して重いため、古いマシンを復活させ、「ダマシダマシ使う」用途では困ると思っていたところ、EcolinuxDSLなどの軽いOSが、Firefox最新版を載せた形で普通に簡単に入手、インストールでき、綺麗に動作するので本当に便利になったと思います。このFirefoxが初期状態では含まれていないものの、Puppy Linux というのが、これらの軽量Linux-OSの中では特に使い勝手がいいように思います。 

ScilabOctaveを入れれば、ちょっと古くなった機械でも、実験データ処理や数値計算のための自分用マシンとして、とても有用なものになるでしょう。

2008年4月7日月曜日

電気機器基礎 第1回目080407を終わって

本日の講義、比較的多くの皆様に熱心に聞いていただきましてありがとうございました。その後、自動車の研究に興味を持つ学生さんが個人的に質問に来てくれたりして、ちょっと希望がもてる感じがしました。

成績評価は期末テストを行いますが、普段点の考慮を望まれる方が多いようですので、出席調査に代わるレポートの提出を、下記の通り次回以降考えたいと思います。今後もこのブログを毎週良く注意して見てください。

(最初の講義アナウンスのページの記述を一部改訂します。)

------------------------
4/14 第二回目提出用のレポート課題
学生証番号:               氏 名:

[問1] 電気機器の特徴がよく生かされている身の回りの製品を3つあげ、その中で電気機器の特長が具体的にどのように発揮されているか説明してください。

[問2] この講義への期待、要望事項があればお書きください。

以上、A4の紙一枚以内にまとめて次回4/14の講義開始時にご提出ください。

2008年4月3日木曜日

総合科目 人間・環境一般 「足からロケットまで---走る/飛ぶ/探る科学入門 」の講義スケジュール(4/20改訂)

総合科目 人間・環境一般 
「足からロケットまで---走る/飛ぶ/探る科学入門 」


平成20年5月23日(改訂)
取りまとめ: 情報理工学系研究科電子情報学専攻 工学部電気工学科 准教授  古関隆章
(URL http://www.koseki.t.u-tokyo.ac.jp,
e-mail: takafumikoseki AT ieee.org)
Skype: takafumikoseki
場所: 駒場キャンパス 511教室 金曜日5限(16:20-17:50)
科目コード 11348


対応が遅くなってすみませんが、これまで行われた講義の資料を、ご担当の先生方から入手することができましたので、その情報を以下から入手できるようにしておきます。

   講義資料を入手するためのリンク先はこちら

著作権などの問題のある資料については講義聴講者だけのために、講義の最初にお知らせをしたPWを付してあります。

標記講義を、駒場キャンパスにて開講します。ものを動かすことに興味のある人は、目指す専門分野を問わず広くご参加くださりますよう願っております。初回の4/18の講義では、配布資料に講義名の誤記など不備のありましたことをお詫び申し上げます。
 また、一部の方には初回講義の最後に申し上げたとおり、大学の講義では細かく見ればわからないところがたくさん出てきますが、それはむしろ当たり前のことなのです。わからないことがあったことを、いちいち気にする必要はありません。大切と思われることを、必要に応じて自分で調べ、あるいは教員に積極的に質問して、わからぬことをわからぬままに放置せぬ努力をすることさえ忘れねば大丈夫です。


 人や物を効率良く運ぶことが、文明社会の成立に欠かせず、移動手段を提供する技術が、我々の生活の基本を支え、そして生活を楽しく豊かにするために大切です。実際、日常的な生活の中で、自動車や鉄道などの身近な交通は不可欠なものとなっていることを実感しているでしょう。人々は太古の昔から、速くて、快適で、便利な移動手段を求めてきました。近年は、これに加えて、安全性への意識も高まっており、環境への負担の少ない交通、高齢社会への移行に伴い「交通弱者でも移動の自由が奪われない」バリアフリーに対応した交通など、移動手段の「質」に対する要求もさらに高いものとなっています。このような様々な要求に応える「運ぶ」営みのために、電気や情報の技術が貢献できることは多く、交通における電気・電子・情報技術の役割はますます大きくなっています。
 本講義では、このような視点から、電気エネルギーおよび情報通信や計算機技術を積極的に用いて人や物を「うまく」運ぶ方法論を

 --電気自動車、ハイブリッド自動車
 --リニアモータ・磁気浮上超高速鉄道
 --電気鉄道など軌道系の交通システム
 --宇宙環境におけるロボットの移動技術
 --エネルギー問題から見た交通と、グローバル環境への影響

を例に、オムニバス形式で2-3時間程度ずつ解説をし、高校や教養学部で習う物理や数学の延長上にどのようにこれらの技術が構築されているかをできるだけわかりやすく具体的に解説するとともに、最新の研究動向を紹介します。

(この研究に興味を持つ受講者には希望により研究室の見学なども可能です。熱心な文系の学生も歓迎するが、基本的には高校の理系科目選択者程度の物理、数学の知識を前提とした講義内容とします。)



講義内容

4/18 古関 ガイダンスおよび力学、電磁気の基礎
4/25 堀 電気自動車の科学
5/2  休講 
5/9 橋本 宇宙で使われる電気電子工学:
   宇宙で使われる物理、数学、電気電子工学について解説。 あわせて、宇宙研紹介。
5/16 呉(堀研) パーソナル移動アシストを目指した電気駆動と制御技術
    (パワーアシスト、二足歩行を例に)
5/30 (堀・)古関 生産研見学 16:20-...
6/06 古関 電気と電気駆動 (電気鉄道を例に)
6/13 惑星探査機は電気で動く: 例年の講義と同様。ただし、5/9の内容を少し差し引いたもの。
6/20 久保田 宇宙探査ロボティクス
6/27 大崎 超電導技術と輸送の科学
7/04 電気駆動と環境
7/09(水) <---5/23の振替日: 磁気浮上 リニアドライブ(古関/大崎)
7/11 坂井 人工衛星をどうやって動かす?  姿勢制御と超電導フォーメーションフライト


 講義の資料で電子ファイル配布の必要があるものは、この古関のHPからDL可能なようにします。ファイルにはPWをつけアクセス制限をかけることがあります。

Control and System Theory: Lecture for graduate students at EE-course / 大学院講義 制御システム論について

月曜日の3限に行われる上記の大学院講義は、堀洋一教授が主として取りまとめをしていますが、宇宙研の橋本・久保田・坂井先生とともに古関も3回分を担当しますので、その概要を以下にご紹介します。講義は英語で行います。

堀先生大学院講義「制御システム論」: 

Control and System Theory

Summer Semester Monday 14:45-16:25

夏学期 月曜4限 14:45-16:25

Documents prepared by KOSEKI can be downloaded here!


Fundamental part
(01) 4/14 Hori: State space representation I
(02) 4/21 Hori: State state representation II
(03) 5/12 Koseki: State feedback and optimal regulator of a linear system
(04) 5/19 Koseki: Linear state estimation
(05) 5/26 Hori: Disturbance observer and robust servo-control

Application-oriented part
(06) 6/2 Hori: Applied robust control for electric vehicles
(07) 6/9 Hashimoto: Control system dynamics in space application

(08) 6/16 Kubota: Robotic Control in Space

(09) 6/23 Sakai: Estimation in spacecraft control application
(10) 6/30 Oh: Human friendly motion control for power assist
(11) 7/7 Koseki: Multirate sampling digital observer

(12) 7/14 Occasional date

電気・電子工学科 学部3年生「電気機器学基礎」 (4/21改訂)

電気機器学基礎の講義は、月曜日の10:15-11:45@245号教室で行います。本年度は4/7開講になります。

昨年度の経験をフィードバックし、よりわかりやすい講義に努めますので、奮ってご参加ください。4/7の講義の際の、多くの皆様からのご要望により、出席調査がわりの簡単なレポート課題を出題しますので、毎週このブログを良く見てください。

----本学期の講義予定----
回数 日 曜日 テーマ 内容

1) 2008/04/07 月 はじめに
電気-機械エネルギー変換、電気機器の種類と歴史、エレクトロニクスとパワー、電気機械エネルギー変換技術の社会的役割とその重要性

2) 2008/04/14 月
電気機器学の学問としての位置づけ、電気機械の種類、(回転系を中心とした)古典力学と電磁気の復習、思考の手抜きの技術としての電気回路、フェーザ表示

3) 2008/04/21 月 多相交流と進行磁界
多相交流、三相巻線と進行磁界、回転磁界の数学的表現方法、力とトルク、その物理的意味

4) 2008/04/28 月 誘導電動機I
誘導機の原理と特長、誘導機の構成、変圧器と誘導電動機

5) 2008/05/12 月 誘導電動機II
誘導電動機の原理と特性表現法(=T型、π型等価回路)、モデル同定のための測定法、円線図を用いた特性の表現

6) 2008/05/19 月 誘導電動機III
誘導機の種類とエネルギーの流れ、誘導機の可変速制御、空間高潮波とゲルゲス現象などの諸注意

7) 2008/05/26 月 同期発電機I
同期発電機の原理、構造と電力システム、特性のモデリングと測定法、発電機の並行運転と電力系統

8) 2008/06/09 月 同期電動機II
トルクの発生原理、同期電動機の種類とその特長、v特性と同期調相機、永久磁石同期電動機とサーボ制御
同期機の原理と直流機の関係

9) 2008/06/16 月 直流機
直流電動機と発電機、直流機の種類と特性の比較

10) 2008/06/23 月 座標変換
エネルギー流れの理解、過渡現象の理解、制御と電気機器の一般理論?

11) 2008/06/30 月 パワーエレクトロニクス入門I
パワー素子、信号処理とパワーのエレクトロニクスの相違、DC/DC, AC/DC, AC/AC, DC/AC変換, 自己能力を持たない素子と転流回路、高調波問題と解析法

12) 2008/07/07 月 パワーエレクトロニクス入門II
自己消弧能力を持つ素子とPWM, ACモータのインバータによる可変速駆動, サーボモータ

(7月の予定は別途事務に確認後修正します!)
13) 2008/07/14 月 ???
電気駆動制御
制御工学との関係:定常現象と過渡現象、産業応用の話題(電機駆動とモーション制御)、
機器設計に伴う諸問題==>電磁界数値解析、

14 ) 2008/07/21 月 期末テスト?

---本年度教科書指定---
「エレクトリックマシーン & パワーエレクトロニクス」
エレクトリックマシーン&パワーエレクトロニクス編集委員会 編/森北出版(定価 2800円)

---推薦参考書----
<入門書として初学者に読みやすいもの>

☆☆☆電気学会 多田隈他:「電気機器学基礎論

藤田:「電気機器」 森北出版
(amazonでは5つ星がついています!)

<一般的なもの>
☆☆☆☆☆:(株)日立製作所総合教育センタ技術研修所編
小形モータの技術」 オーム社
メーカのエンジニア養成を目的に書かれていますのでわかりやすく実用的です。電気自動車や有限要素法による特性計算の話題までカバーしますので、基礎的な知識を広く身につける意味でお薦めです!

電気学会 「電気機械工学」「電動機制御工学」

仁田他: 「大学課程 電気機器(1)」 オーム社
(これは昨年まで準教科書として用いていた書籍です。現在、名誉教授の仁田丹三先生が、数理工学社から出版予定の教科書を執筆準備されています。)


<専門性の高いもの>
本ブログでも詳しく紹介した電磁気と制御の応用を統一的に解説した優れた参考書
(必ずしも電気機器学の伝統的な構成にそって記述されているものではありません。)
☆☆☆:坂本哲三 著 「電気機器の電気力学と制御」 森北出版

英語で基礎的なことが良く書かれている本(これは古関が大学院生の時に輪講のために購入したものですが、現在では入手が困難になっているようです。)
☆☆☆☆:
Fitzgerald/Kingsley/Umans: "Electric Machinery" International Student Edition, MacGrawHill

大変詳しい古典的名著(入手は困難 ドイツ語なので本当の専門家にのみおすすめです。)
☆☆
K. Vogt: "Elektrische Maschinen ---Berechnung rotierender elektrischer Maschinen," VEB Verlag Tchnik Berlin (<<=これは東ドイツの出版社のため出版社が現在変わっている可能性が高いです。)

2008年3月9日日曜日

3/4の産業応用フォーラムについて

3/4に東京大学本郷キャンパス工学部2号館241号教室にて、電気学会産業応用フォーラム電気鉄道用語の国際規格上の問題点と整合性についてを開催しました。

このフォーラムは、周知期間が短く、また、年度末の忙しい時期であったにもかかわらず、50名近い多くの皆様にお集まりいただくことができました。フォーラム開催に向けてご支援くださりました皆様、講師の先生方および当日ご参集いただきました皆様に厚くお礼申し上げます。

フォーラムでの講演内容詳細については、こちらをご覧ください。

「鉄道における国際規格と国内規格に関する用語整合性調査専門委員会」(委員長:曽根 悟)では、諸外国の用語とその意味する範囲の調査・分析を行いました。そして、その検討成果を電気学会技術報告第1078号「電気鉄道用語の整合性の現状~概念と用語の国際比較~」(CD-ROM版)としてまとめました 本フォーラムでは、この活動成果及びその後のTC9での国際規格の審議状況について御報告し 電力供給システム、車両・車両情報システム、信号保安システム等の各分野における技術用語とその問題点につき各専門家が講演しました。


2008年2月23日土曜日

2008/02/27の国際規格講習会での講演資料

(財)鉄道総合技術研究所国際規格調査センターの業務に関係して2/27(水)にメルパルク東京で開催予定の第4回交際規格講習会にて、古関は第7番目の講演者として「日本提案規格 IEC/TC9/PT62520 ELECTRIC TRACTION: ELECTRIC MACHINES FOR RAIL AND ROAD VEHICLES-- SHORT-PRIMARY TYPE LINEAR INDUCTION MOTORS FED BY POWER CONVERTERS 審議状況のご報告 」という講演を行う予定です。しかし、2月は多忙を極めたため、講演時の配布資料の事前準備ができませんでした。不手際をお詫び申し上げます。詳細な講演資料を、ここからご覧くださりますようお願い申し上げます。

2008年1月21日月曜日

ドイツ学術交流会の記念誌への投稿

1989年6月-1990年10月までのドイツ滞在に関してご支援をいただいたDAAD ドイツ学術交流会の記念誌へ寄稿した拙文の草稿を、以下に掲載します。(記念誌の最終稿は、編集ご担当の方との協議で変更になる可能性がありますが、講義を取ってくださっている学生の方々にもご覧いただけるよう初稿をここに載せておきます。)

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渡独への熱き思いから20年
         89-90 Braunschweig 工科大学
         東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授 古関隆章

1. 留学の経緯
 私がDAADの奨学精度を知りドイツ留学を志したのは1988年博士課程1年生の夏だった。修士課程で吸引式磁気浮上リニア誘導モータによる推進を実現する磁気車輪の研究をした。その成果を1988年初夏にHamburgで開催されたIVA 国際交通見本市と併催されたMaglev '88(磁気浮上システム国際会議)で発表し、初めてヨーロッパ、そしてドイツを訪れる機会を得た。また、当時まだ営業運転されたいなかったICE (Inter City Experimentalと呼ばれていた)の試験車にも乗ることができた。
 ドイツの6月はすばらしい季節、会議で出会ったDornier社の技術者にFriedrichshafen近くのご自宅にお招きいただき、夏のBodenseeの穏やかで美しい夕暮れの風景に魅せられた。IAESTEに応募し、ドイツの企業で実習したいと指導教官の正田英介教授に相談したところ、「そんな中途半端はせずDAADというのがあるからその制度を活用してドイツの大学できちんとした研究をして来い」との御指導で、先生と研究上深い交流のあったBraunschweig工科大学の電気機械・鉄道研究室のH. Weh教授に拙い英文で手紙を書きDAAD申請に際しての御支援を仰いだ。思えば、Weh先生が85年秋に来日し東大で有限要素法のリニアモータ解析への応用について講演したのが、自分が初めて聞いた英文の講義だった。学部の輪講のために初めてまじめに読んだ外国文献もそのWeh先生執筆のものだった。、不思議な縁を感じつつ渡独した。
 一方、通信の発達していない当時、ヨーロッパに一人で渡るのは「地の果てに行く」ような感じでもあった。

2. 磁気浮上・リニア誘導モータの研究と技術動向
 85年9月に学部の卒業研究のため正田先生の研究室に配属して最初にやったのは、東京で開催された磁気浮上システム国際会議の裏方としてのお手伝いだった。研究の基礎となる知識もない中で、多くの外国の専門家(おそらくはその多くがドイツ人だった?)の熱気溢れる討論を直に見、内容はよくわからないが彼らの熱意に大いに刺激を受けた。当時はつくば博覧会で磁気磁気浮上車HSST-03が実際に乗客を輸送する実績を作っていた。国鉄が開発していた超電導磁気浮上も、ML-500も宮崎の実験線で世界最高速の走行試験記録を達成し、乗客用の座席を持つMLU001への展開という、実用化を意識した研究開発が熱心になされていた。電気学会でもリニアドライブ技術委員会を設立すべく準備がなされ、関係者の意気が大いにあがっていた。
 一方西ドイツではTransrapidのEmsland試験線の北側ループ線での高速試験走行実績が蓄積され、南側ループ線を増設しての連続走行試験が視野に入りつつあった。
 今の中国がそうだが、国がどんどん成長しているときには、人々は磁気浮上車のような新しい高速鉄道システムが欲しくなるのだろう。

3. 激動の留学期
 私が「西」ドイツに渡った89年6月には冷戦構造が当然のこととしてそこにあり、その対立の最先端にあって象徴的存在だった西ベルリンの壁に沿って、西側の先端技術を東に誇るかのように、M-Bahnという磁気浮上車が営業運転されていた、。西ドイツにおける磁気浮上技術は、このように政治的に特殊な意味も持っていたかと思う。なお、その後、大ベルリン市の中に位置することとなったM-Bahnはベルリン市の公共交通ネットワークの中で、まさに「浮いた存在となってしまい、他の路線との互換性が高い地下鉄に置き換えられ、ベルリンの壁と共に歴史的存在となった。
 私がドイツGoettingenに渡った1989年6月5日は、天安門事件の日であり、その後、Braunschweigに移り、11/9にテレビを購入して下宿でセットアップし最初に見たニュースは、東独政府が国民の西側への旅行の自由を発表したという衝撃的なものであった。それから90年10月のドイツ統一に至る1年間が歴史的大変化のときであったことはいうまでもない。そんな時期に、東西ドイツの境界に近いBraunschweigで静かな研究生活を送ることができたのは、何物にも替え難い貴重な幸福であったと思っている。

4. 20年を経て....ドイツ学術交流の今日的意義
 ドイツ留学を志し準備に着手して既に20年が経とうとしている。日本では【失われた10年」を経て昨今の経済は好調といわれながらも、目下、政治の混乱、株価の暴落、社会格差の顕在化、とまらぬ少子高齢化、各種偽装問題が報じられ、我が国の将来の明るい展望を語れる人は多くない。
 一方、ドイツはEUをリードする大国として影響力と安定感を増しつつも、アメリカ発のグローバル化の潮流の中で、その固有の良き文化、伝統をどう保持かに悩んでいるように見える。
 ドイツの工科大学で十数年前から言われていた、工学離れ、電気電子工学離れは、今や東京大学を含む日本の主要大学でも顕著になっており、日独ともに、産業の競争力低下、空洞化が懸念されている。ドイツが誇る前述の高速磁気浮上鉄道も、いまだ国内での実用例はなく、昇る竜である中国の上海で活躍している。日本では愛知博後もリニモが都市郊外路線として営業を続けているが、山梨リニアの営業線開通までは、まだ数年の道のりがありそうだ。
 両国とも、その力の源泉たる先進技術が、人々の気持ちの中で「空気のような存在」になっていて、若者にアピールしにくいのかもしれない。しかし、技術を志向する若者にとって、やはりドイツは学ぶのに良いところで、私の研究室からもすでに3名がDAAD奨学生としてドイツの3つの大学で活躍してきた。インターネットの発達、特にwebやSkypeの普及は、本来孤独な海外留学の風景をずいぶん変化させているだろう。したがって、20年前のような高揚感はもはや得られないかもしれないが、普段から影響の強いアメリカと異なる、ある意味で保守的な文化伝統を持つドイツで学ぶことは、日本人としての自分を再発見すると共に、グローバル化の何たるかを第三の視点から実感する良い機会となろう。
 ドイツ語で専門を学ぶことは、用語の定義に始まる基本論理を大切にしつつも、実用性の高い思考方法を培うことになり、日本学徒にとって意義が大きい。同時に、日本の大学人や学術政策に関わる人々は、Goethe Institutやドイツの奨学制度の、文化発信ビジネスモデルとしての優秀さにもっと着目してよいと思う。

----おわり----

2008年1月15日火曜日

Annoucement on G-COE colloquium on the 1st February 2008, at Room 246


G-COE colloquium

Electric Traction in Future
by Prof. A. Vezzini and Mr. Ch. Koebel
02/01 09:15-11:30 @ Room 246

09:30-10:15

Powering Futue
Electric Drive System Research Activities at Bern University of Applied Sciences

Prof. Andrea Vezzini, Switzerland

Bern University of Applied Sciences (BFH TI) has a long standing research tradition in the field of electric machines and power electronics. Based on the success of the permanent magnet wheel hub motors developed 1993 for the World Solar Challenge in Australia, BFH TI has since then ventured into different application fields of electric drives for transportation and automotive applications.

The 40 minute presentation will give an overview of the successful projects in the last years, including the first commercial electric motor glider plane, a three wheeler electric city car, a high speed electric bicycle, a low cost low pollution series hybrid Rickshaw prototype for the Indian market and some more.

It will then focus on the ongoing research covering hybrid permanent magnet synchronous reluctance drives for automotive and transportation applications, showing the advantages of this type of electric machine based on their extended field weakening capability.

Curriculum Vitae
Dr. sc. techn.
Andrea Vezzini, (born 1965) Professor for Industrial Electronics, University of Applied Science Bern / Biel School of Engineering
Prof Vezzini received his PhD. Degree at the Swiss Federal Institute of Technology Zürich 1996 and was elected in the same year as Professor for Industrial Electronics at the Berne University of Applied Sciences.
For more than 10 years now Prof. Vezzini’s work is focused on permanent magnet brushless DC and Synchronous Motors and the accompanying power electronics. During this time he worked in close cooperation with industry and received in 2001 the “Swiss technology Award” for the drive train of the first commercial electric glider plane.
From August 2004 to March 2004 he was visiting Professor at General Motors Advanced Technology Centre in Torrance, USA, where he was working on a study for a new electric motor for the next generation fuel cell vehicle.
From 2005 to 2007 he was heading the research focus group Energy - Transportation – Mobility at Berne University of Applied Sciences.


Prof. Andrea Vezzini is currently staying at CSIRO Material Science and Engineering site in Lindfield, where he was invited as part of the CSIRO Chief Executive Distinguished Scientist Visitor Program.

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10:20-11:00

Mitrac Energy Saver – Onboard energy storage on railway vehicles

Christian Köbel, Switzerland

Bombardier Transportation has developed the past years an onboard energy storage device based on supercapacity technology. For proof of concept, the device has been tested on a light rail vehicle in operation the past 4 years.

The 40 minute presentation will give an overview on onboard energy saving technologies for different railway vehicle applications. It will then focus on different operation modes of using onboard storage devices, showing benefits, disadvantages and potential energy reductions.

Curriculum Vitae
Christian Koebel, (born 1972) Director R&D Programme Management, Bombardier Transportation
Mr. Koebel received his Dipl-Ing. Degree at the University of applied science Constance / Germany in1999.
The past 6 years, Mr. Koebel has been involved in R&D Management for Propulsion & Controls within Bombardier Transportation.