2007年11月16日金曜日

お薦めの参考書

 大学院生のときから学会での議論などを通じて親しくご指導いただいている九州工業大学教授の坂本哲三先生が、新たに出された著書をお送りくださりました。

森北出版 
坂本哲三著
「電気機器の電気力学と制御---電磁現象のモデリングから制御系設計まで」 ISBN-978-4-627-74271-0

 坂本先生は、残念ながらこれまで共同研究などを通じて親しく一緒にお仕事をしたことはないのですが、超電導磁気浮上に関する電磁界解析(渦電流解析と発生力の計算)から、応用制御へと研究者としての歩みを進められたという点で、古関にとっては、同じようなセンスで密な技術的議論のできる
ありがたい先輩です。(ちなみに、古関は、リニア誘導モータの渦電流解析から研究の道に入り、磁気浮上を含む電磁アクチュエータの制御や交通システム電気駆動応用などを現在行っています。)

 まだ詳細な記述まできちんと読み込めてはいませんが、全体構成を拝読し、電磁気の基礎的な考え方から制御、状態推定にいたるまで、コンパクトにまとめられています。電磁アクチュエータ制御を常に想定しながら限られたページ数で統一的にまとめられている点で、電磁アクチュエータの設計から動作の理解、制御までの必要な理論的背景全般を、短時間で勉強し、役立つ知識を身につけると観点から、とても有用です。また、類書にはなかなか見られぬ着眼点の珍しい、力作だと思います。

 学部の電気機器の講義を受けてよく分からなかったけれど、ロボットや車両の制御のためにモータや磁石について学びたいと考えている人、とりあえずMatlabは一通り使えるようになったが、より実践的な応用を意識した演習や実験をしてみたいと考えている学部生、電気機器と制御の一通りの知識は身につけたので電磁気のレベルから制御までを一つの筋を通して体系的に理解しなおしたいと望む大学院生や若手研究者には、痒いところに手が届くイラストと説明のちりばめられた良書と思います。

 より具体的に東京大学のカリキュラムの中で言うと、電気機器学基礎、制御工学第二、制御CAD演習、モーションコントロールなどの履修者にとって特に役立つ内容の参考書です。

目次 (森北出版HPより)
 メカトロニクス装置のモデリングと制御系設計
 電磁現象の基礎
 磁性体と磁気回路
 超電導体
 電磁エネルギーの変換と電磁力
 電磁力の発生と制御
 サーボモータの制御

読者対象 大学院生・技術者・研究者・学部上級生
分野 制御・電気機器

内容紹介:電気機器のモデリングと制御系の設計に必要な電磁気,磁性体,超電導および制御工学について,電気工学と制御工学を横断的にまとめた専門的なテキスト.電磁現象の理解によって定式化を行い,制御を検討するという筋道で電気機器と制御工学の両面を眺められるように構成されている.