2009年4月3日金曜日

電気電子工学科 学部3年生「電気機器学基礎」 (2009/07/12修正)

電気機器学基礎の講義は、月曜日の10:15-11:45@245号教室で行います。本年度は4/6開講です。

昨年度までの経験をフィードバックし、わかりやすい講義ができますよう努めますので、奮ってご参加ください。従来の講義アンケートなどで見られたご要望により、出席調査がわりの簡単なレポート課題を出題します。毎週このブログを良く見てください。

----本学期の講義予定----
回数 日 曜日 テーマ 内容

1) 2009/04/06 月 はじめに
電気-機械エネルギー変換、電気機器の種類と歴史、エレクトロニクスとパワー、電気機械エネルギー変換技術の社会的役割とその重要性、電気機器学の学問としての位置づけ、電気機械の種類、

---第1回目のレポート課題(4/20提出)---
電気エネルギー機械変換がわれわれの生活やビジネスの世界で果たしている役割を述べよ。他の動力発生方法と比較して、電気機械による動力発生の優れている点、劣っている点は何かを考えそのことと関係付けて論じてみよ。(A4レポート用紙半ページ程度で短く回答してください。レポートの最初に、学生証番号、氏名と提出日を明記してください。)
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2) 2009/04/13 月 入学式のため休講

3) 2009/04/20 月 交流における 電気機械エネルギー変換入門 
(回転系を中心とした)古典力学と電磁気の復習、思考の手抜きの技術としての電気回路、フェーザ表示

三相巻線に三相対称交流電流を流すと進行波ができることの確認 ここをクリック

------第2回目の演習問題------
所属学科/学生証番号/氏名 
[1] 電気<-->機械エネルギー変換、電気機械の動きに関わる物理を、講義で説明した基礎方程式を例示して簡潔にまとめて示してみよう。そして、方法論として電気回路理論の上で理論を展開している「電気機器学」が、これらの基礎的物理理論と比較し、現象を手っ取り早く理解するための「うまい手抜き」になっていることを、簡単な例を挙げて説明せよ。

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第二回目のレポートに関するコメント
 報告書としての基本ができておらず、表題もなくいきなり解答だけを書いている試験答案のような物が散見されましたので、ご注意ください。
 また、「出席していれば書けるような簡単内容にしてくれ」という要求がありましたが、過去2回の出題は、いずれも講義ノートをきちんととっていれば、その内容を自分の言葉で説明しなおすだけで書くことができる内容ですので、この要請は意味をなしていないように思います。


4) 2009/04/27 月 誘導電動機I
多相交流、三相巻線と進行磁界、回転磁界の数学的表現方法、
力とトルク、その物理的意味、誘導機の原理と特長、誘導機の構成、変圧器と誘導電動機

------第3回目の演習問題------
(必ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。過去の2回のレポートでは、この報告書としての基本ができておらず、いきなり解答だけを書いた試験答案のような物が散見されましたので、ご注意ください。)


所属学科/学生証番号/氏名 

[1] 三相交流巻線を用いて回転磁界(あるいは進行磁界)を発生させることができる原理について簡潔に説明せよ。(図式の説明でも、数式による説明でも良い。)

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5) 2009/05/07 木(月曜扱いの振替日 誘導電動機II
誘導電動機の原理と特性表現法(=T型、π型等価回路)、モデル同定のための測定法、

本日の講義後に、周波数s*f_sを前提に書かれていた二次側等価回路と、周波数f_sを前提に書かれていた一次側回路をつなぐ際に、なぜ後者の電圧を1/s倍してつなぐのかという、良い質問がでました。その部分はこの講義の範囲で、ややごまかしている感じのあるところで、直感的には二次側に見られる「逆起電力」の大きさは基本的に周波数に比例して大きく見える部分なので、そのような換算をして電流を共通にしてつなぐのが良いというやや曖昧な説明のしかたしか、今回の理論的枠組みの中ではできません。これについての厳密な説明は参考書を見ていただきたいのですが、たとえば藤田宏:電気機器(森北出版)p176には本日古関が説明したやり方とほぼ同じ流儀で、二次側等価回路のつなぎ方に関する説明がなされています。

------第4回目の演習問題------

(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 

[1] 誘導機の典型的なトルク--速度特性の概要を図示し、「すべり」について説明せよ。

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6) 2009/05/11 月  誘導電動機III
等価回路の導出と特性計算、誘導機の種類とエネルギーの流れ、


-----第5回目の演習問題------
(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 

誘導機の単相あたりの等価回路を図示し、この回路をテブナンの定理を用いて簡単に計算する手順を示し、その手法を用いてギャップを介して二次側に伝達される電力を計算せよ。また、この電力の物理的意味を講義ノートを参照して説明せよ。

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7) 2009/05/18 月 誘導機
誘導機の始動法と試験法、誘導機の制御、円線図を用いた特性の表現、空間高潮波とゲルゲス現象などの諸注意単相誘導機(小型誘導機)

------第6回目の演習問題
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(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 

誘導機等価回路の式を用いて、一次周波数一定の電圧源で駆動される誘導機のトルク--すべり特性(あるいはトルク--速度特性)が、二次抵抗によりどのように変化するかを説明せよ。この性質を利用し、誘導機の始時には円滑な加速のためにどのような工夫がされるか、回転子側の構造の種類ごとに説明せよ。
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8) 2009/05/25 月 直流機
(前回積み残し:
空間高潮波とゲルゲス現象などの諸注意、単相誘導機(小型誘導機))
直流電動機と発電機、同期機の特殊形としての直流機


------第7回目の演習問題------
(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 
(1) 小電力用単相誘導モータにおいて、どのようにして回転磁界を得るかという点を中心に、その原理と方式を説明せよ。

(2) 直流電動機、直流発電機の電機子巻線の定常状態の回路方程式を示し、それに基づき直流機におけるエネルギーの流れを説明せよ。

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9) 2009/06/01 月 前回積み残し:直流機の結線の種類と特性の比較 

------第8回目の演習問題------
(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 

直流機の主な界磁巻線(field winding)、電機子巻線(armature winding)の結線方法と、各々の結線をした場合の発電機(generator)としての負荷特性、電動機(motor)としての負荷特性を比較し、グラフを用いて簡潔に説明せよ。

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10) 2009/06/08 月 直流機の特長とパワーエレクトロニクス・モーション制御の基礎
同期機I
三相巻線と同期発電機の原理

------第9回目の演習問題(6/15に提出)------
(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 
(1) 直流機と同期機の類似点と相違点を比較して述べよ。
(2) 1980年代まで、直流機が可変速駆動制御に広く用いられてきた理由を説明せよ。

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11) 2009/06/15月   同期機II
構造と分類, 同期機の機能, 電機子反作用

------第10回目の演習問題(6/22に提出)------
(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 
(1) 交流巻線の空間高調波低減方法について述べ、巻線係数の意味を説明せよ。
(2) 電機子反作用は誘導起電力と電機子電流の位相に依存する。力率が1の場合の電機子反作用をフェーザ図を用いて説明せよ。

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12) 2009/06/22 月 同期機 III
特性のモデリング


------第11回目の演習問題(6/29に提出)------
(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 
(1) (参考書の該当個所を参照し、)同期発電機の定常現象を示す等価回路と突極形同期発電機のフェーザ図を示し、直軸、横軸リアクタンスの意味を説明せよ。(ここまでは復習。)
(2) (1)の結果を見ながら、この機械の出力を示し、その第1項、第2項の意味を説明せよ。(ここは、避難訓練で説明しきれなかった部分の補習相当、各項の意味については、避難訓練直前に黒板で解説した通り、参考書を参照して復習せよ。)
(3) (2)における特殊な場合として、直軸リアクタンスと横軸リアクタンスの値が同じ場合の現象を説明せよ。

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13) 2009/06/29 月 同期機IV
測定法、
発電機の並行運転と電力系統
トルクの発生原理、同期電動機の種類とその特長、

07/06, 07/13 は1限の「制御工学第一」2限「電気機器学基礎」を続けて古関が担当します。

------第12回目の演習問題
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(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 
(1) 同期発電機の基本的な特性試験法を説明せよ。また、左記で述べた内容と関連し、定格電圧6kV, 容量5MVAの三相同期発電機において、界磁電流200Aに対する無負荷発生電圧が6kV、短絡電流が600Aであった。この発電機の短絡比、および同期 リアクタンスを計算せよ。
(2) 同期発電機の並行運転時に注意すべきことを説明せよ。
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14) 2009/07/06 月
同期電動機: V特性と同期調相機
パワーエレクトロニクス入門I: パワー素子、信号処理とパワーのエレクトロニクスの相違、DC/DC, AC/DC, AC/AC, DC/AC変換, 自己消弧能力を持たない素子と転流回路

------第13回目の演習問題(7/13に提出)------
(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

所属学科/学生証番号/氏名 
(1) 同期電動機のV特性とは何かを説明し、なぜそのような特性が得られるのか、フェーザを用いて説明せよ。
(2) パワーエレクトロクスにおける半導体素子の動作が、信号処理に用いる半導体素子と大きく異る点は何か?その理由も含め説明せよ。
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15 ) 2009/07/13 月  パワーエレクトロニクス入門II
講義で示した補足資料をここからご入手ください。(PWつきです!)
高調波問題と解析法, 自己消弧能力を持つ素子とPWM, ACモータのインバータによる可変速駆動, サーボモータ
+電気駆動制御と座標変換
制御 同期機の原理と直流機の関係
エネルギー流れの理解、過渡現象の理解、制御と電気機器の一般理論?
制御工学との関係:定常現象と過渡現象、産業応用の話題(電機駆動とモーション制御)、
機器設計に伴う諸問題==>電磁界数値解析

------第14回目の演習問題(7/23午後の期末テスト直前に提出)------
(必 ずしも問題文を書き写す必要はないですが、レポートには何について論じているのか、テーマを最初に書くことが必須です。)

[1] 推奨参考書7.3.1 他励順変換回路 (2) 単相ブリッジ回路 および(3) 三相ブリッジ回路の節などをよく読み、
(1)直流側に抵抗負荷がある場合に限定し、サイリスタ4つを用いた単相全波制御整流器の回路図、基本動作と、点呼角α(上記の参考書では制御遅れ角と記述されている)を変化させ直流出力電圧を変化させる原理を説明せよ。
(2)直流側の負荷が十分大きなインダクタンスを持ち、電流が平滑化されるときの直流側出力電圧をαの関数として示せ。
(3)同様にサイリスタ6つを用いた三相全波整流器の回路図と基本動作を説明せよ。

16) 2009/07/23 木 期末テスト (13:00-14:30) 自分で書いたA4の紙1枚持ち込み可能
(御注意!!:他科目との試験時間重複調整などの理由のため標準のコマから変更になりました.)


---本年度教科書指定---
「エレクトリックマシーン & パワーエレクトロニクス」
エレクトリックマシーン&パワーエレクトロニクス編集委員会 編/森北出版(定価 2800円)

---推薦参考書----
<入門書として初学者に読みやすいもの>

☆☆☆電気学会 多田隈他:「電気機器学基礎論」

藤田:「電気機器」 森北出版
(amazonでは5つ星がついています!)

<一般的なもの>
☆☆☆☆☆:(株)日立製作所総合教育センタ技術研修所編
「小形モータの技術」 オーム社
メーカのエンジニア養成を目的に書かれていますのでわかりやすく実用的です。電気自動車や有限要素法による特性計算の話題までカバーしますので、基礎的な知識を広く身につける意味でお薦めです!

電気学会 「電気機械工学」「電動機制御工学」

仁田他: 「大学課程 電気機器(1)」 オーム社
(これは昨年まで準教科書として用いていた書籍です。現在、名誉教授の仁田丹三先生が、数理工学社から出版予定の教科書を執筆準備されています。)


<専門性の高いもの>
本ブログでも詳しく紹介した電磁気と制御の応用を統一的に解説した優れた参考書
(必ずしも電気機器学の伝統的な構成にそって記述されているものではありません。)
☆☆☆:坂本哲三 著 「電気機器の電気力学と制御」 森北出版

英語で基礎的なことが良く書かれている本(これは古関が大学院生の時に輪講のために購入したものですが、現在では入手が困難になっているようです。)
☆☆☆☆:
Fitzgerald/Kingsley/Umans: "Electric Machinery" International Student Edition, MacGrawHill

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