水曜4限(14:55-16:40) @駒場キャンパス517教室 30868
What's new?
15/05/10 講義計画の一部修正と追加資料の掲載をしました。
15/05/06 の講義の資料を掲載しました。
15/05/01 成績評価に関する記述を追記しました。
セミナーの進展に伴う更新情報、参考資料、質問などへのフィードバックはこのページを用いて行います。[1] 授業のタイプ 実験データ解析型
[2] 学術分野(大分類/小分類) 工学/ 電気電子工学
キーワード: 物理 力学 運動方程式 微分方程式 動的システム 運動制御 ロボット 車両
[3] 目標、概要
すでに高校の物理で習ってきたように、目の前のものから、天体に至るまで世にあるものは力学に関する物理法則にしたがって動いている。ニュートンにより提唱された力学の法則は数学的表現では、時間に関する二階の微分方程式の形をとり、ものをうまく動かすために、その微分方程式に基づく「動的な性質」を理解し取り扱うことが重要になる。ものの「動的な性質」に着目して対象をモデル化し、状態を計測し、リアルタイムに情報を処理して、入力をうまく決め、「思ったように物を動かす」一連の手法を制御という。ここでは、倒立振子という、そのままでは倒れてしまうものを例題に、上手にものを動かすモーションコントロール=運動制御について、グループでの議論、数値計算、実験を通じて学び、数式に基づいて論理的に考えることの大切さを体験することを目的とする。
[4] 授業の方法:
序盤は、高校で学んできた物理や数学の知識をもとに、動的なシステムの理解を深めるための入門的な講義を行う。推薦参考書、webからダウンロードした電子版のテキストやスライド配布資料などを自習に活用しながら、講師の話を聞き、TAの支援を得て練習問題をやりながら、運動方程式の基本となる微分方程式の表現や典型的な解法、それらを簡単に扱うためのラプラス変換という演算子法などの実用的に有用な手法を体験する。
中盤には、パーソナルコンピュータを用いて、その上にある「制御系CAD」と呼ばれる計算に便利なアプリケーションを用いて、グループワークを行う。動的システムのモデルを記述し、時間的な波形や周波数応答などを、実際に自分で数値的に計算し、様々なグラフを描く体験を通じて、動的なシステムの取り扱いや制御器を設計するという作業を、数値シミュレーショの中で仮想的に体験し、グループ内での議論や講師、TAとの議論を通じて、制御の面白さを感じながら、序盤で座学を通じて学んだ物理数学的基礎や動的なシステムの取り扱いの科学に関して、さらに理解を深める。
終盤には、グループごとに簡単な運動制御実験の中で、実際に制御器の設計を実体験し、理論との相違や実世界における設計や計測の難しさを体験する。それらのシミュレーションや実験の結果を比較しながら、グループの検討の成果を、レポートと発表資料の形にまとめる。最終日に小さな「研究発表」を自分たちで行い、グループ相互の質疑を体験する。
[5] 教科書: なし ただし、参考プリント電子ファイルを本ページから配布
[6] 参考書:
木村英紀: 制御工学の考え方―産業革命は「制御」からはじまった 講談社(ブルーバックス) 新書 2002/12/16
森 政弘, 小川 鉱一: 初めて学ぶ基礎制御工学? 東京電機大学出版局 2001/1
佐藤 和也, 平元 和彦, 平田 研二: はじめての制御工学 講談社 (KS理工学専門書)
遠山 啓 数学入門 上 下 岩波新書 <==この本は理系を志すすべての学生にお奨めです!
[6] ガイダンス 初回講義 (初回から3回目4/22の講義)
[7] 授業計画
(1) 4/8 (水)全体ガイダンス(教養学部担当 大講義室)
(2) 4/15 サイエンティック・スキル講習 (教養学部担当)
(3) 4/22 (水) 文献検索実習 +「第1回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 居村・ TA美浦)
制御工学入門:
「ダイナミック」に考えることの重要さ!
入門: 制御工学とは? 運動制御は我々の生活にどのように役立っているか? 制御の難しさと面白さ この授業の進め方
4/22講義参考資料をここからご入手ください。(PWつき)
(4) 5/7 (木) 「第2回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 堀・TA 美浦)
講義: 工学への数学応用は「思考の節約=手抜き法」である!
5/7講義参考資料をここからご入手ください。
今後説明予定資料も含め、堀教授の講義にかかわる資料を以下のリンクから御入手ください。
A-1. 電気自動車関係動画ファイル 1 (PWつき 約377MB 大きいので注意)
A-2. 電気自動車関係動画ファイル 2 (PWつき 約731MB 大きいので注意)
A-3. 電気自動車関係動画ファイル 3 (PWつき 約107MB 大きいので注意)
B. 基礎制御工学まとめファイル 4 (PWつき 約23MB)
C. 運動制御まとめファイル 5 (PWつき 約11MB)
D. ラプラス変換 の理論まとめファイル6 (PWつき 約2.5MB)
なお、上記Dに相当する堀先生のラプラス変換についての教科書はこちらですので、興味のある人は成書をじっくりと読んで学んでください!
また、5/7の講義で堀教授が示した、古関作成の
E. 5/7用の講義ノート(約1MB) こちらから入手
F. 5/13用の講義ノート(約1MB) こちらから入手
は、清書ができておらず読みにくい形で申し訳ありませんが、理論の流れを納得できる形できちんと追いたい人のために早期に公開しますので、読んでみてください。5/7の講義ノート中の数値例についてはこちらのスライドをご覧ください。(こちらはPWつきです。)
わからないところがあれば今後の講義の中で質問していただければいいかと思います。
(5) 5/13 (水) 「第3回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 堀・TA 美浦)
講義: 賢い手抜き法I:運動方程式を簡単に解きモデルを見やすくする数学
(6) 5/20 (水) 「第4回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 古関・TA 美浦)
演習: 賢い手抜き法II:信号の流れを図で表現する方法
Octaveを用いて数値計算をする方法を体験的に学びます。
その練習問題、解説をこちらからご入手ください。
(7) 5/27 (水) 「第5回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 堀・TA 美浦)
講義: 賢い手抜き法III:
振動(ばね)と減衰(ダンパ)の数学表現---複雑な現象を身近にある簡単なモデルにあてはめて考える手抜き法
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(8) 6/10(水) 「第6回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 古関・TA 美浦)
演習: 賢い手抜き法 IV:
複雑な現象を身近にある簡単なモデルにあてはめて考える計算法
(9) 6/17(水) 「第7回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 古関・TA 美浦)
演習: 賢い手抜き法 V:
制御器設計とシミュレーション体験----開ループと閉ループ---上手に情報を戻して制御に使う科学
(10) 6/24 (水) 「第8回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 古関・TA 美浦)
実験の体験とグループ討論: 不安定システムを安定化する I
6/10-24で講義中に示したoctaveのシミュレーションのためのコマンドについては、こちらをご参照ください。
(11) 7/01 (水) 「第9回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 古関・TA 美浦)
実験の体験とグループ討論: 不安定システムを安定化する II
台車を動かして制御する倒立振子のモデリングの基礎 (+剛体の力学としての定式化)
(<==概要はこちらを参照)
角度および速度フィードバックゲインの設定による挙動の変化の体験
(12) 7/08 (水) 「第10回目 モーションコントロール入門」
実験をふりかえる演習、グループ討論を通じた制御性能の評価と成果発表の準備
(1グループ10分のプレゼンテーションの資料をまとめる作業)
(13) 7/15 (水) 「第11回目 モーションコントロール入門」 (担当教員 古関・TA 美浦)
グループ成果発表と討論
成果レポートの取りまとめの連絡
以後の議論・考察のための論点
以下のキーワード、論点を参照しながらグループ内で議論をし、良いプレゼンテーションにつなげよう。
(1) 運動の安定性と不安定性----- 安定なつり合いの点と不安定なつりあいの点 とはどのようなものか?
(2) 運動の安定化におけるフィードバック制御の意味
倒立振子の例の場合: 位置のネガティブ・フィードバック 速度のネガティブフィードバック の意味 なぜししばしば、位置のみならず速度のフィードバックも必要になるのか?
(3) 倒立振子の挙動の数値計算 実験の結果とそれに基づく考察(必須課題)
(モデルや実験の計画をどのように考えて、どのような作業をし、どのような結果を得たか?
それらは当初の予想、期待と比べて合っているか?違っているか?
違っているとしたらその理由は何だろうか?)
(4) (自主的な)発展課題
例:安定化制御でモデルが実際と異なっていると何が起こるか?
---たとえば倒立振子の先端になにかつけて重くしてみたらどうなるか?
安定化制御をエネルギーの流れという観点から見たら、何が言えるか?など
その他、自由に自分達で議論のための問題設定してみよう!
プレゼンテーションのガイドライン: スライド 10-13枚程度?
----<スライドの構成例>----
表紙 (表題、グループ番号 氏名)
はじめに (論点、目的)
内容
問題設定
理論的基礎
基礎方程式 モデル
数値計算
実験条件
実験結果
考察
まとめ、おわりに
----------------------
[期末レポート提出のお願い(重要)]
成績評価のための「個人レポート」は上記(1)-(4)の4つから、(3)ともう1つ、合計2つを選択して、自分の言葉で考えたことをまとめてください。
(1) 「上記4つから2つを選択」の1番目の課題
(2) 「上記4つから2つを選択」の2番目の課題
(3) 本講義に対するコメント、来年度の講義に向けて改善すべきこと
<レポート記述上のヒント>
レポートをまとめるには、図や数式を適宜用い、また、グループでプレゼンに用いた数値計算や実験結果を適宜利用して充実した内容にすべく努めてください。
また、参考文献などで学んだ「facts」と自分自身で考えたことを明確に区別して記すようにするのが良いと思われます。参考文献やweb上の情報からの 引用については、適宜参考文献のリストを(レポート末尾に)作成し、本文中の記述に該当する参考文献番号を具体的に記載することが必要です。
レポートは、pdfとして、TAの美浦さんあてにe-mailで送付してください。
(締切は 8/1(土)正午 e-mail受信記録で時間管理します。)
送付先のアドレスは、講義中に示します。
(あるいは古関研究室のメンバーのページから美浦を探してください。)
大きなファイルとなる場合には、メール添付ではなく、dropbox, googledocsなど適宜オンラインのディスクを用いたリンクの形で ファイルをお送りください。
美浦さんの確認作業を確実にするため以下の様式に従ってください。
ファイルはpdf
学生証番号が 340427g 提出者氏名が「日本太郎」の場合
メールのサブジェクト欄の記載: MotionControl_340427gNipponTaro
提出ファイル名: 340427g_NipponTaro.pdf
(なお、レポート提出後、美浦さんからのファイル受領確認の連絡が2-3日以内に来ない場合には別途、念の為確認の連絡を試みてください。)
[8] 学習上のアドバイス
(1) 自主的に学習に取り組もう。
(2) このページに掲げた参考文献を始め、関心を持って、制御や動的システムに関する参考書に予め目を通し、疑問に思う点をまとめて授業に参加しよう。
(3) 物理的直感を重視しながらも、数式を嫌わず、数式に基づいた合理的な議論をするよう心がけよう。
(4) 疑問に思う気持ちを大切に、恥ずかしがらず疑問に思うことは、講師や仲間に積極的に質問して、議論を通じた理解を深めよう。
(5) インターネットを通じて入手できる SciLab Octave などのツールを調査し、自分のPCにインストールして色々自分で試してみよう。
[9] 成績評価
講義における参加実績、プレゼンテーションの出来(50%) + 期末レポート(50%)
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