2013年9月16日月曜日

中央大学理工学部 2013年度冬学期科目 「電気機器」(2014/01/16 改訂)

「電気機器」
冬学期 木曜1時限目 (09:00-10:30)

[1] 履修条件
高校および大学の理系の教養課程で物理学の基礎としての
  力学(剛体の力学を含む)および
  電磁気学を習得していること
<==昨年度の学生さんからのフィードバックとカリキュラム調査でこの前提条件が満たされていないことが判明しました。電磁気の学習は並行して進むと思いますが、剛体の力学を万が一どこでも習った経験の無い方は自分自身で努力して学ぶ必要があります。
 ☆お奨めの参考書はこちら(古関もこれで学びました!)

複素インピーダンスを用いた交流回路計算法を含む基礎的な電気回路理論を習得していること
複素数、三角関数、簡単な定係数線形微分方程式やラブラス変換を用いた簡単な計算ができる数学的基礎を有すること
インターネットを通じた定期的情報取得が可能な環境とPCリテラシィを有していること

[2] 授業概要
電力システムの発変電の基本、電気自動車、鉄道車両や工作機械、ロボットなどの運動制御の基礎となる電気-機械エネルギー変換の基本的な仕組みと理論を学ぶ。
また、電気機械の理解を通じて、複雑な物理現象の本質を簡易に扱う「電気技術者の思考テクニックとしての等価回路に基づく考え方を修得する。

[3] 授業計画
初回2013/09/26は講師が海外出張中のため休講
1) 2013/10/03 はじめに
講義/学習の進め方
電気-機械エネルギー変換、交流と直流、多相交流
電気-機械エネルギー変換技術の社会的役割とその重要性
電気機械の種類、静止器と回転機、エレクトロニクスとパワー

10/10の最初に提出していただくレポート課題をこちらから御入手ください。
第1回目の講義で示したスライドはこちらにてご覧ください。
(暗号化ファイル約5.1MB、講義で示したパスワードを入れてご覧ください。)

2) 2013/10/10  交流における電気エネルギー変換・電気機械エネルギー変換入門
古典力学と電磁気の復習: 電気機器学の学問としての位置づけ

10/17の講義の最初に提出していただくレポート課題をこちらから御入手ください。

3) 2013/10/17 電力の計算と交流回路、単相電力と三相電力の考え方 アンペールの法則と磁気回路の基礎
  
10/24の講義の最初に提出していただくレポート課題をこちらから御入手ください。

4) 2013/10/24 三相交流と電力、三相交流と回転磁界 変圧器
(基本構成、機能と理想変圧器) 

10/31の講義の最初に提出していただくレポート課題をこちらから御入手ください。

5) 2013/10/31
変圧器:理想変圧器
電気材料 (鉄非線形性と鉄損について)

11/07の講義の最初に提出していただくレポート課題をこちらから御入手ください。

6) 2013/11/07 変圧器
実在の変圧器の等価回路表現と基本的測定法 
変圧器の性能(百分率インピーダンス、電圧変動率、効率など)

11/14の講義の09:00前後に提出していただくレポート課題をこちらから御入手ください。

7) 2013/11/14
変圧器 補足: 三相結線 V結線 
誘導機 I: 誘導機の原理と特長 +鳳・テブナンの定理の復習
誘導機の構成、変圧器と誘導電動機
誘導電動機の原理と特性表現法(=T型、π型等価回路)


11/21の講義の09:00前後に提出していただくレポート課題をこちらから御入手ください。

8) 2013/11/21 誘導機 II: 
交流回転機の基礎: 三相交流の書き方、回転磁界
トルク-速度特性(Torque-speed curve)との関係 


11/28の講義の09:00前後に提出していただくレポート課題をこちらから御入手ください。
なお、第8回目のレポートの中でHさんが講義に関する意見を書いてくれました。意見ありがとうございました。これについては、11/28の講義冒頭に古関の考えをお答えしたいと思います。

9) 2013/11/28 誘導機 III:
回転機の基礎続き: 
  空間高調波とトルクリップルの低減法:スキュー、巻線係数(短節巻、分布巻)

鳳-テブナン定理を用いた誘導機等価回路(T-type equivalent circuit of an induction motor ) の計算法

→ 誘導機の等価回路の導出に関する詳細な数式展開の説明はこちらをご参照ください。
(ただし、複雑な大学院レベルの数式展開なので本当に興味のある方のみで結構かと思います。)


12/05の講義の09:00前後に提出していただくレポート課題をこちらからご入手ください。

10) 2013/12/05
誘導機続き(補足的説明)
 比例推移特性(proportional shifting)
 誘導機の種類とエネルギーの流れ、誘導機の始動法
 モデル同定のための測定法
 (空間高潮波とゲルゲス現象などの諸注意、単相誘導機(小型誘導機))

直流機概論
 直流機と同期機入門: 同期機の特殊形としての(他励)直流機

12/12の講義の最後に提出していただくレポート課題をこちらからご入手ください。


11) 2013/12/12 直流機概論
 直流電動機と発電機
 エネルギー保存則とモータ定数
  運動制御のアクチュエータとしてのモータの特性とその基礎モデルとしての電機子の回路方程式

期末試験予備アナウンス 期末試験 1/30 限 90分
 白いA4の紙表裏一枚に、任意の手書きメモを作成したものを持ち込み可能
 出題の内容はほぼ週レポートとその解説に準拠しているものと考えてよい。

(12/12の口頭説明では 60分と言ってしまったようですが、正式に試験時間は90分です。  ←平沼さん、重要な御指摘ありがとうございました!)

12/19の講義の最後に提出していただくレポート課題をこちらからご入手ください。

12) 2013/12/19 同期機I:
機能上の分類と構造上の分類
同期発電機
回転数と周波数/界磁と電機子/フェーザダイアグラムの勘所

01/09の講義の際に提出していただくレポート課題をこちらからご入手ください.

13) 2014/01/09 同期機 II:
同期発電機:
電機子巻線誘導起電力/漏れ磁束/フェーザ図と同期機の等価回路(円筒機/突極機)/同期発電機の特性
単位法、短絡比同期発電機の出力特性

 
説明の不備のお詫びと、教科書の訂正について:
講義後、直ちにご指摘をいただきましたので以下のことを修正し、お詫びを申し上げます。

[1] 短絡比: SCRと銅機械、鉄機械との関係
(A) 短絡比が小さい = 同期インピーダンスが大きい =負荷電流に対する電圧変動が大きい
 すなわち、機械内部の磁気エネルギーの蓄積が小さい: 銅機械 火力発電機などSCR=0.6程度

(B) 短絡比が大きい = 同期インピーダンスが小さい =負荷電流に対する電圧変動が小さい
 すなわち、機械内部の磁気エネルギーの蓄積が大きい: 鉄機械 水力発電機などSCR0.8-1.2程度

 <====すなわち、 教科書p80の記述が正しく、1/9の古関の板書/説明に誤記がありました!お詫びして訂正します。


[2] 教科書 p80 の図4.7 図4.8について

電気子電流I_aによる「リアクタンス電圧降下」は、当然I_aと直交するフェーザとして表現できます。したがって、この2つの図の直角マークの場所は誤りで、-jxI_aと直交するのは E_tではなくI_aです。これは教科書の図に誤りがありますのでご注意ください!

(<==これについては出版社にも連絡をしておきます。また、この誤った記述に基づき発生した1/9のレポートの誤解答は減点しませんのでご安心ください。これについては1/16の講義で再度説明をいたします。)

ご指摘をいただきました皆様、ありがとうございました!

01/16の講義の際に提出していただくレポート課題をこちらからご入手ください.


14) 2014/01/16 (講義最終日) 同期機 III:
同期電動機 
等価回路/出力/V特性
+期末テストに関するアナウンス
 これまでの演習問題で、誤答の多かった問題に関する解説

これまでのご聴講ありがとうございました。
期末テスト頑張ってください!

期末試験準備のポイントとなるキーワード

(1)同期機: 界磁電流と、電機子電流の力率の関係 同期電動機のV特性 同期機の電力 突極機のトルク特にリラクタンストルク
(2)誘導機: 鳳テブナンの定理を用いた単相等価回路の計算と回路定数の物理的な意味、特に二次電力とトルクのすべり特性計算
(3)変圧器: T型等価回路とその意味 基本特性測定法
(4)直流機: 整流子 同期機の特殊な形としての直流機の意味
(5)その他: 回転機の一般的常識 直流機と交流機の関係



[4] 評価方法
(インターネット経由で講義後毎週出題する)小レポートの講義開始時の毎週の提出(40%)と期末テスト(60%)

[5] テキスト 参考文献など

---教科書指定---
仁田・古関: 電気機器学基礎 (数理工学社 新・電気システム工学 \2500)
補遺や一部の演習問題解答はこちらでご覧ください

---推薦参考書----

<入門書として初学者に読みやすいもの>
「エレクトリックマシーン & パワーエレクトロニクス」
エレクトリックマシーン&パワーエレクトロニクス編集委員会 編/森北出版
藤田:「電気機器」 森北出版
森北出版 松井「電気機器 (基礎からの電気・電子工学)」
電気学会 多田隈他:「電気機器学基礎論」

<一般的なもの>
電気学会 「電気機械工学」「電動機制御工学」

<専門性の高いもの>
本ブログでも詳しく紹介した電磁気と制御の応用を統一的に解説した優れた参考書
(必ずしも電気機器学の伝統的な構成にそって記述されているものではありません。)
坂本哲三 著 「電気機器の電気力学と制御」 森北出版

[6] 授業外の学習活動 特に無し

[7] そのほかの特記事項 特に無し

[8] 参考URL
古関のブログ:講義に関する情報、補足資料やレポート課題をここから御入手願います。
http://www.takafumikoseki.blogspot.com/

[9] 参考資料
上記のリンクから適宜入手してください。

[10] 履修者の皆様への備考
本ページは演習の出題なども含め、適宜更新されますので注意深く頻繁にご覧ください!

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